短い言葉に

 送信されてきたその一言が、女の子にはたまらなくうれしかったらしい。昨年の全国高校生川柳コンクール(福岡大主催)の入選作にある。〈君からの「おやすみ」のLINE(ライン) 眠気飛ぶ〉▲「おやすみ」の4文字にきっと好意を読み取って、夢見る心地なのだろう。SNS(会員制交流サイト)では短文のやりとりが多い。一語で、一文で、思いをそのまま送受信できたらいい▲時として、往々にして、そうもいかないから難しい。相手の身になって伝えよう、と県教委、無料通信アプリ「LINE」の運営会社は共同で「情報モラル」を学べる教材を作成した。「SNSノート・ながさき」と言う▲小中学・高校の年代別の5冊と、別に手引がある。その中の一題。友達から言われて「いやだな」と感じるのは? 「まじめだね」「おとなしいね」「個性的だね」などの五つから選ぶのだが、やってみると答えに迷う▲言葉の受け止めようは人によりけりで、日常会話では、同じ言葉でも表情や語気によって受ける印象が変わる。表情の見えないSNSでは言葉遣い、伝え方にとりわけ注意が要ると、SNSノートは教えている▲先の一題に限らず、教材の問いは、もう長いこと大人をやっている身にも難しい。短い言葉に細やかな心を。大人も知るべき心得かもしれない。(徹)

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