昔遊びや勉強、音楽会 逗子の体験学習施設、開館5周年に

 逗子市の体験学習施設「スマイル」(同市池子1丁目)が4月、開館5周年を迎える。児童館がなかった市内で、主に子どもたちが気軽に利用できる場所として整備された。体験を通じて交流することを大切にし、施設はさまざまな世代との触れ合いを楽しむ子どもたちの笑顔であふれている。

 バレンタインを控えた2日。キッチンを備えた多目的室で、小中学生の女の子4人が、施設内のカフェで働く橋本りかさんから教わりながら、チョコレートクッキーを作っていた。

 焼き上がったクッキーを早速、試食。4人は「サクサクの方がおいしい」「また作りたい」と目を輝かせた。小学5年高井遥さん(11)は「先生と話すのは楽しいし、お菓子を作るこつも聞けてうれしい」と笑った。

 スマイルは2014年4月、市第一運動公園内に開館。市民が児童館の開設を求める請願を出したのを契機に、子どもたちが自ら施設の在り方に知恵を絞るなどした。乳幼児と保護者の遊び場や自習に利用できる勉強部屋、スポーツルームなどがあり、年間延べ2万7千人が市内外から利用する。

 「子どもの可能性を広げるきっかけになれば」と願い、地域の大人が昔遊びや科学実験、楽器の習得などを教える約20の講座を用意。4人がクッキーを焼いたのもその一つで、施設の運営に携わる中高生が「おいしいお菓子を作りたい」と提案、企画された。講座の他にも、若手演奏家による音楽会や大学生が中学生に教える勉強会なども開いている。

 施設長の石黒貫爾さんは「より多くの子どもに遊びに来てほしい」と期待。カフェなどの運営を統括する桑原泰恵さんは「多世代と触れ合う経験を子どもたちに届け、地域に愛着を持ってもらい、スマイルを居場所と感じてもらえたらうれしい」と話した。

焼き上がったクッキーを試食しながら談笑する女の子たち=2日、スマイル

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