ジャイアンツ ハーパー獲得とチーム再建を両立させる可能性

2月に入ってからブライス・ハーパー争奪戦に本格参戦したジャイアンツ。フリーエージェント市場の大物外野手を狙うこの動きは、72勝90敗に終わった1992年シーズン後にバリー・ボンズを獲得し、翌年の103勝につなげた動きと比較されている。ジャイアンツはポストシーズン返り咲きを成し遂げるために、ボンズと同様の役割をハーパーに期待しているのだろうか。MLBネットワークのジョエル・シャーマンは、ジャイアンツには「別の狙い」があるのではないかと指摘する。

一般的な視点から考えれば、ジャイアンツのラリー・ベアーCEOとファーハン・ザイディ野球部門社長の狙いは、ハーパーを獲得してチームの戦力をアップさせ、ナ・リーグ西部地区の優勝争いにおいてドジャースやロッキーズに対抗できるチームを作ることだろう。ハーパーは特に外野手の層が薄いチーム状況にフィットする存在であり、実現すれば理想的な補強となるに違いない。

しかし、シャーマンはジャイアンツのハーパー獲得がチーム再建に関する動きの1つであると考えている。ハーパーは現在26歳であり、仮にジャイアンツがチーム再建に2~3年を要したとしても、チーム再建が完了することにはまだ28~29歳。チーム再建を終え、再びポストシーズン進出を狙うことにもバリバリの主力選手としての活躍を期待できるのだ。

そして、シャーマンがハーパー獲得の最大の効果として挙げるのが「再建期にファン離れを防ぐことができる」ということだ。メジャーを代表するスター選手であるハーパーが入団し、期待に応える活躍を見せることができれば、チームの成績が振るわなくとも、ファンはハーパーの活躍を目にするために球場を訪れ、テレビ中継を見るだろう。NFLの49ers、NBAのウォリアーズなどとファンの奪い合いをしなければならないジャイアンツにとって、ハーパーは「ファン離れ阻止の切り札」になるというわけだ。

再建期に突入しようとしているチームへの移籍をハーパーが受け入れるかどうかはわからない。しかし、このような指摘をする記者が現れること自体が、ハーパーが非常に魅力的な選手であることを証明していると言えるのではないだろうか。

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