川崎大師の「引声・双盤念仏」、市の文化財に 35年ぶり

 「双盤」と呼ばれる大きな鉦(かね)をたたきながら念仏を唱える「川崎大師引声(いんじょう)念仏・双盤念仏」が、川崎市文化財(重要習俗技芸)に指定された。同技芸の指定は白幡八幡大神(宮前区)の「禰宜(ねぎ)舞」以来35年ぶり。市文化財は114件に増え、うち同技芸は3件となった。

 双盤講として同市内で唯一現存する「川崎大師双盤講」(講元・田辺照雄さん)が伝承している。川崎大師平間寺(川崎区)の法要で唱えるものを「引声念仏」、法要以外の際に唱えるものを「双盤念仏」と呼んでいる。

 引声念仏は江戸時代の1834年、同寺の隆盛和尚が本堂の再建を期して始めたとされる。現在も3月の正御影供や、5月と9月の大護摩供などで披露されている。双盤念仏は1897年ごろ、初代講元の古尾谷浅吉氏が始め、今でも毎月第3日曜日の午後に信徒休憩所で行われている。

 市文化財審議会の1月の答申を受け、8日の市教育委員会で指定された。

昨年3月に行われた川崎大師引声念仏(市教委提供)

© 株式会社神奈川新聞社