<スポーツeye>運動部コラム 十人十色の人間ドラマ

 正月恒例の箱根駅伝は年々その人気が高まり、今年の関東地区の平均視聴率は2日間とも30%を超える歴代最高の数字を記録した。激しい順位争いも注目を集める一つの理由だが、それ以上に人々を引きつけるのは、選手たちがそこに至るまでに積み重ねてきた「ストーリー」にある。

 ある選手は病魔と闘いながらレースを迎え、またある選手は挫折を乗り越えて晴れ舞台に立つ。裏で支えるのは温かい家族、メンバーに入れなくても笑顔で送り出してくれる仲間たち…。途中ペースが落ちたとき、たすきが途切れそうなとき、ランナーはそんなかけがえのない人たちの顔を思い浮かべながら、懸命に足を前に進める。その姿はまぶしく、多くの人たちの心を揺さぶる。

 今年も県下一周駅伝の季節がやってきた。11チーム総勢370人の選手たちはそれぞれ苦しさを乗り越え、周囲に励まされ、仲間との絆を強めてレース本番を迎える。残念ながら、そのすべてを掲載することはできないが、記者として十人十色の人間ドラマを一つでも多く紹介したい。そして、読者の皆さんには、ランナーが近所を通る際はぜひ、沿道に出て声援を送ってみてほしい。あなたの胸に響く何かがきっとある。

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