4年間使い倒した愛竿をインプレ
「このロッドだけあったらいいわ」
筆者にはそう言い切れるロッドが1本だけあります。それが、ブリーデン社の「グラマーロックフィッシュ TE83deep」。
その汎用性の高さから、関西在住時には“神戸港アルティメットバーサタイル”と心の中で呼んでいました。
今回は、約4年間に渡って酷使したこのロッドをインプレッションしていきます!
筆者について
元釣具屋の編集部S
バス釣りやソルトルアーから、船釣り、磯釣り、鮎釣りまで楽しむ“魚種無制限系アングラー”。好きな釣りは、その時釣れている釣り。
釣具店勤務時代はロッドとリールのバイヤーを担当。好きな釣り具メーカーは、特になし。
秀逸すぎる先調子
7号(約26グラム)のサビキカゴを掛けたときのカーブ。先調子であることがよくわかる。
TE83deepを一言で説明すると、先調子のロッドです。穂先がかなり柔らかいため、1グラム程度のジグヘッドを軽快にキャストでき、操作感も明確です。
しかしながら、穂先下の中間部分に粘りがあるため、15グラムほどのメタルジグもフルキャストすることもできます。
つまり、軽いルアーは穂先で、重たいルアーは中間部分で扱え、ルアーの許容範囲が非常に広いのです。
近所のメバリングでは0.9グラムのジグヘッドを多用していたが、ストレスはまったくなし。
メバリングやアジングはもちろん、ブラックバス、シーバス、エギング、スーパーライトショアジギング、チニング、タチウオ、穴釣り、カワハギのエサ釣りなど、ルアー・エサを問わず、かなり幅広い釣りが快適にできます。
ロッドが粘って“叩かない”
1リットルのペットボトルをリフトした図。先調子ロッドにありがちなツッパリ感は一切なく、まだまだ曲がりしろが残されている。
このロッドのすばらしい点が、先調子ながら大きな負荷が掛かると“胴(根元)まで曲がり込む”ことです。
ロッド全体で魚の引きを吸収するため、ロッドを叩くような過反発が起こりません。つまり、ラインのテンションが安定するため、フックポイントに一定の負荷が掛かり続けるのです。
痩せてはいるが75センチ級のシーバス。“なんとか取れる”ではなく、“楽勝で取れる”。
そのため、ラインブレイクや針ハズレが極端に少なく、4年間を振り返ってもほとんど記憶にないレベル。この特性は、魚が大きくなるほど顕著に現れます。
魚が無駄に暴れないので、3ポンドの細いラインを使っても、75センチ級のシーバスや45センチ級の青物を何度もキャッチすることができました。
とにかく、大きな魚を取りやすいロッドです。
8フィート3インチが「ちょうどいい」
ガンクロゲーム(ルアータックルでの落とし込み)では、ロングレングスが大活躍。超軽量リグを岸壁スレスレに正確に落とせる。
ライトゲームロッドの中ではかなり長めですが、扱いにくいと感じたことはほとんどありません。
むしろ、曲がりしろが大きくファイト時に安定する、風の影響を避けやすい、遠投時の操作性が高い、遠距離でもフッキングが決まると、メリットだらけです。
飛距離と操作性を活かした“ショアバスジギング”なるメソッドにもトライ。予想通りの釣れっぷり。
先調子のために小技を効かせやすいこともあり、ロングロッドにありがちな“どんくささ”もありません。
ただし、前後左右に障害物があってロッドを振りにくい小さな野池などでは、無理をせずに6フィート台のロッドを使用しています。
折れる気配はなし!
予備竿としてオフショアに持ち出すことも多かった。未経験だが、スーパーライトジギングにも絶対いいはずだ。
ドラグをフルロックにしてチヌとファイトしたり、オフショアで70グラムほどの鉛スッテをアンダーハンドでキャストしたりと、かなり無茶な使い方をしました。
当然、メーカーが設計時に想定していない使い方でしょうが、まったく折れる気配はありません。
剥離した部分から塗装膜の厚さがよくわかる。
また、近年のロッドには珍しく塗装が分厚く施されており、置き傷などの外傷にも強そうです。
弱点をあげるなら……
もっとも組み合わせることが多い、ステラ2500番。適度に手元重心となり、ロングロッド特有の先重り感が消える。
強いて弱点をあげるとすると、自重と飛距離です。
カーボンを厚く巻いているためか、塗装が厚いためかはわかりませんが、自重は少々重め。
0.3か0.5号の細PEを組むため、飛距離は“必要十分”。
また、穂先部分を使ってキャストをすることになるため、ロングロッドだからといって「むちゃくちゃ飛ぶ!」という感覚はありません。
しかし、筆者が両点をあまり重視していないこともあり、実釣時に不都合を感じることは皆無です。
“魚種無制限派”には、最高におすすめ!
PE0.5号とポップXのセッティングは最高。バスタックルを使わなくなってしまった……。
アジングだけ、エギングだけなど、魚種や釣り方を絞れば、他にもいいロッドは多いと思います。
しかし、“魚種無制限”となれば、話は別。どんなに新しいカーボンやガイドが使われようと、現時点でこのロッドに変わるものはありません。
今となっては少し古いロッドになってしまいましたが、魚種無制限派の方には間違いなくおすすめです!
安いロッドではありませんが、これだけ楽しめたらコスパはGOODでしょう。「折れてもまた買いたい」。そう断言できる数少ない釣竿です。
文・撮影:TSURI HACK編集部