[Reviews]Vol.28 シンプル&高性能!あらゆる環境でのフライトに対応するDJIスマート送信機を実戦投入!

1月に開催されたCES2019で発表されたDJIスマート送信機。DJIの高輝度モニターCrystal Sky(5.5インチ)相当のモニターが一体化した文字通り「スマート」な送信機です。今回はこの送信機をじっくりと使い倒してみたいと思います。

基本的な特徴

DJIスマート送信機はOcuSync 2.0に対応し、MAVIC 2シリーズとペアリングすることができます。主な特徴は下記の通り。

  • 5.5インチ高輝度モニターを一体型で装備
    ※輝度1000cd/m2、通常のスマートフォンの画面の約2倍の明るさ
  • -20°C~40°Cで安定に動作(標準送信機は0℃~40℃)
  • バッテリー稼働時間2時間半
  • 最大伝送距離4,000m(標準送信機は5,000m)
  • HDMI出力装備(標準送信機はなし)
  • DJI GO 4アプリの新機能Go Shareを使用して動画や写真をモバイル端末に共有

送信機はもちろん機体購入時に同梱されてきますので、購入するかどうかは「標準の送信機があるにもかかわらず購入する価値があるかどうか」ということがポイントになります。今回はその視点で送信機を見ていきたいと思います。

外観チェック

まずは同梱物・外観からチェックします。同梱物はUSB充電器・USB-Cケーブル・予備スティック・マニュアルです。USB充電器は3.0A出力対応のものです。一般的に販売している充電器は1~2.1A出力のものが多いので、小型USB充電器としては大出力の充電器となります。予備スティックはよく見るとネジの形状が標準の送信機と違います。互換性がありませんのでご注意ください。

商品構成は非常にシンプル。充電もUSBから行うことができる

送信機上部を見ると左右にダイヤル、中央にHDMI・MicroSD・USBの各挿入口があります。ダイヤルは左側がカメラのチルト、右側はMAVIC 2 PROはf値の設定変更、MAVIC 2 ZOOMはズーム機能となります。

ついにHDMI端子を搭載。これでMAVIC 2シリーズで映像出力がかんたんになる

送信機下部は中央にUSB-Cの挿入口があり、ここから送信機の充電ができます。そして左右にはネジ穴。こちらは同梱物の中には対応するものはありませんでしたが、今後何かしらのオプションが登場するのかもしれません。

両サイドにネジ穴も存在。ストラップ等が取り付けられる?

背面にはアンテナがあります。アンテナは今までのDJI製送信機と違い左右両方が固定されています。ただ、どちらにしてもアンテナは平行に向きを整えるのでこの方式のほうが合理的です。また、アンテナを立てると付け根部分にスティックが収納されています。

アンテナは左右連結でいっしょに動く

操縦感覚

一通りチェックしたところで、次は実際にDJIスマート送信機を使って機体を操縦してみたいと思います。持った感じだと、標準の送信機よりもひとまわり大きなイメージ。これは筆者が普段小型のiPhone7を使っているためDJIスマート送信機よりもわずかに小さいのだと思われます。

サイズ感よりも重要なのは、セッティングがとても楽ということです。標準の送信機では折り畳まれた状態のものを展開し、スティックを差し込んでさらにUSBケーブルでスマホやタブレットと接続する必要があるのですが、DJIスマート送信機はアンテナを展開してスティックを差し込めばすぐに使えます。このあたりはちょっとした違いですが、現場ですぐに使えるということは非常に大きなメリットです。

標準送信機+iPhone7で多少小さいくらい。それ以上のスマホならばDJIスマート送信機と同等サイズと思われる

肝心の操縦感覚ですが、筆者としては送信機がひと周り大きな分、少し違和感を感じました。しかしながら、MAVIC 2シリーズのスムーズなフライトは健在。送信機のサイズに慣れれば問題なく操縦できると思います。

重量バランスはよく持ちやすい

機能チェック

操縦性や一体型のメリット以外にも見どころが盛りだくさんのDJIスマート送信機。それぞれ見ていきたいと思います。

高輝度モニター

何より注目の高輝度モニター。スマホの2倍の明るさ…ということですが、実際にスマホ(iPhone7)と並べてみました。写真だとわかりにくいのですが、実際の明るさを見るとスマホよりも少し明るいかなぁという感じです。また、明るさもメリットなのですが、操縦中に電話やLINEが来ないだけでもメリットかもしれません(機内モードにすれば解決しますが…)。

ともに最大輝度で撮影。実際には写真以上にDJIスマート送信機のモニターが明るい

■HDMI出力

筆者は仕事でMAVIC 2シリーズも使っているのですが、悩みのひとつがモニターの外部出力がないことでした。クライアントさんに撮影の映像をリアルタイムで確認してもらうことはよくあることで、MAVICシリーズでスマホやタブレット接続をしていてはそれができませんでした。DJIスマート送信機では、上部にあるHDMI出力端子からかんたんにミラリング出力できます。

ちゃんと16:9で出力できるのが地味にウレシイ

■モバイル充電

DJIスマート送信機でちょっと心配なのがバッテリー持続時間2時間半というところ。プライベートで飛ばす分には事足りそうですが、仕事で使うとなるとちょっと心もとない気もします。カタログ値で満充電2時間程度というところですが、注目すべきは入力端子がUSB-Cというところ。

もしや…と、20,000mAhのモバイルバッテリーの2.1A出力端子を使って空状態から満充電までの時間を測ってみました。結果、6時間半。移動中にモバイルバッテリーから充電していればスペック以上に長くバッテリーをもたせることができると思ったのですが、あまり現実的ではないようです。もちろん、USB-C端子同士直結の3A出力モバイルバッテリー等を使えばもっと充電時間を短縮できるかと思います。

2.1A出力のモバイルバッテリーから充電テスト。意外と時間がかかった

Go Shereを使ってみる

DJIスマート送信機の注目機能のひとつに「Go Shere」があります。撮影した動画や写真をSNSにアップしたり友人に送ったりするのに、DJIスマート送信機からは直接できません。だからと言って、MicroSDを取り出して…というのも面倒。それを解決するのが「Go Shere」です。DJIスマート送信機に表示させたQRコードをDJI GO4の入ったスマホで読み取るだけで自動でDJIスマート送信機とスマホをWi-Fi接続、データを共有することができるという機能です。

DJIスマート送信機に表示させたQRコードをDJI GO4で読み取るだけでOK

実際にやってみるとほんとうに簡単でした。「設定」から「Go Shere」を選びQRコードを表示させたら、コレをDJI GO4を立ち上げたスマホで読み込むだけ。自動でDJIスマート送信機にWi-Fi接続し、送信機内に保存された動画や写真をダウンロードできました。これなら簡単に撮影したものをシェアすることもできます。

接続できたら必要なデータを選択してダウンロードするだけ

まとめ

冒頭でもお話した通り、「標準の送信機があるにもかかわらず購入する価値があるかどうか」がこの送信機の評価になると思います。以下のようなMAVIC 2ユーザーは即買いかと思います。

  • 晴天時のモニター(スマホ等)輝度に不満がある
  • Crystal Skyを購入予定だった
  • HDMI 出力が必要
  • 送信機の組み立てが面倒
  • ドローン操縦時にスマホは使いたくない
  • 氷点下で飛ばすことが多い
  • お金持ち

今後はMAVIC 2 Enterpriseシリーズにも対応予定だったり、モニターのAndroid OSはサードパーティアプリをインストール可能だったりと発展性・拡張性の高さも注目ポイント。まだまだ進化しそうなこの送信機の評価は、半年後にまた全く違うものになっているかもしれません。

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