フィルムで切り取る平塚 インスタ女子が地元の魅力発信 写真展も

 今となっては懐かしいフィルムカメラで平塚の街角を撮影し、写真共有アプリ「インスタグラム」に投稿している女性2人がいる。デジタルカメラと違って撮り直しもできず、不便さも目立つが「そこがいい」。平塚市の公式アカウントに投稿された写真を集めた写真展にも作品を出展。“インスタ女子”がぬくもりある写真で平塚の魅力発信に一役買っている。

 インスタで活動するのはともに市内在住のパート冨木沙織さん(38)と会社員君島裕美さん(41)。インスタでの活動を通じて知り合い、昨年には市内のカフェで個展を共同で開いたりした写真仲間だ。

 10年ほど前に子育ての記録として、写真を撮り始めたという冨木さん。写真の魅力にはまり、カメラ付き携帯電話から古い一眼レフに持ち換えた。淡い色合いに写るフィルム写真に冨木さんは「立体感があって、デジタルカメラとは描写力が違う」と力説する。

 一方、仕事の一環で始めたという君島さんはカメラ歴4年。中古店で見つけた二眼レフがお気に入りの相棒だ。正方形の写真が撮れる二眼レフは今では持つ人も少なく、使い方もほとんど独学で習得した。「フィルム1本で撮れるのは12枚。手間もかかる分、撮る時のドキドキ感がいい」

 2人がレンズを向ける被写体はさまざまだ。街角や家族、何げない日常の一コマ…。それでもお気に入りの撮影スポットを尋ねると「自分の家の近所」と口をそろえる。「普段歩いている場所でも、カメラ越しだと違う発見がある」(冨木さん)という。

 インスタの投稿数は2人で計約800件、フォロワーは約1700件に上る。草の根のシティープロモーション活動に平塚市も注目し、写真展の共同開催を持ち掛けた。

 市民の投稿作品を集めた「#hiratsukagood写真展」は17日までJR平塚駅前の「ラスカ平塚」5階で開かれている。入場無料。八幡山公園(同市浅間町)のバラや桜の咲き誇る渋田川など2人が撮りためた25作品を含め計55点を展示。冨木さんは「生まれ育った平塚の街を多くの人に見てもらうきっかけになれば」と話している。

フィルムのカメラでインスタグラムに投稿している冨木さん(右)と君島さん=JR平塚駅前のラスカ平塚

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