県の措置、合理性ない 朝鮮学校補助金問題

 神奈川県が朝鮮学校に通う子どもたちへの学費補助を停止している問題を考える学習会が12日夜、横浜市中区で開かれた。補助金不支給は人権侵害に当たるとし、黒岩祐治知事に差別の是正を求めた県弁護士会の警告書について弁護士が解説。「警告をまともに受け止めない知事を許し、何ら合理性の見いだせない県の措置を許すのか。私たち県民が問われている」と訴えた。

 県は拉致問題が教科書に記載されていないことを理由に2016年度から補助金支給を停止している。警告書は保護者の人権救済の申し立てを受けて昨年11月に出され、権利回復のため過去にさかのぼって支給を再開するよう求めている。

 代理人を務めた小賀坂徹弁護士は「拉致という政治問題で、なぜ全く関係のない生徒や保護者が不利益を被らねばならないのか。誰がどう考えても合理性はみいだせない」と強調。外国人学校の子どもの教育を受ける権利を政治・国際情勢に左右されることなく確保するとした補助制度の趣旨に反する点をとりわけ問題視し、「自ら事業の目的を破り、極めて重要な人権を侵害している。憤りを禁じ得ない」と断じた。

 黒岩知事は教科書改訂が支給の条件との姿勢を変えておらず、「最も厳しい措置である警告の重みを受け止めていない」と小賀坂弁護士。「支持しないという態度を県民が示す必要がある。世論で政治を変えるという民主主義を機能させられるか、私たちは宿題を課せられている」と結んだ。

 学習会は市民団体「神奈川朝鮮学園を支援する会」が主催。昨年2月には補助再開を求める署名約2万筆を提出している。

警告の意義を解説する小賀坂弁護士=横浜市中区

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