思春期の「性」と「生」 KAAT舞台「春のめざめ」今春再演へ

 KAAT神奈川芸術劇場(横浜市中区)で今春、ドイツの劇作家フランク・ヴェデキント原作の舞台「春のめざめ」を2年ぶりに再演する。近現代戯曲を現代の視点でよみがえらせるシリーズの一環で、今回はフランスの小説家ジャン・コクトーが手掛けた「恐るべき子供たち」もシリーズ最新作として舞台化する。

 両作品に共通するテーマは「思春期の『性』と『生』」。6日にKAATで開かれた製作発表会で、演出の白井晃=芸術監督=は「大人社会との対峙(たいじ)の中で子どもたちがいかに闘っていくか。若き日の葛藤を描く作品を連続で上演する試み」と話した。

 「春の-」は19世紀末に書かれた、少年たちの性への目覚めや大人たちの抑圧を描く戯曲。前回の上演が好評を博したことから再演に至った今回は、メインキャストの一部を一新した。注目の若手俳優、伊藤健太郎が主役のメルヒオールを、岡本夏美がヒロインのヴェントラを演じ、栗原類は初演時と同じモーリッツ役に臨む。

 二度目の舞台出演にして初主演を務める伊藤は「思春期の人たちが考えることは時代を超えて通ずるものがあると感じた」と台本を読んだ感想を話し、「全身全霊でこの役を演じたい」と意気込んだ。

 同じく思春期の少年少女を主人公にし、姉と弟のスリリングな関係を描いた「恐るべき-」は1929年に出版された中編小説。舞台には南沢奈央、柾木玲弥、松岡広大らが出演する。美しくも残忍な姉エリザベートを演じる南沢は「理性が働かない子どもの複雑な心境を表現できたら」と語った。

 「春の-」は4月13~29日、「恐るべき-」は5月18~6月2日にそれぞれKAAT大スタジオで上演する。

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