WTCR:バレンティーノ・ロッシのアイデアがモチーフ。新機軸のデザイン・カーナンバー制導入

 WTCR世界ツーリグカー・カップは、MotoGPのレジェンドライダーであるバレンティーノ・ロッシのアイデアに触発される形で、2019年シーズンからドライバー個別のデザイン・カーナンバー制を採用するとアナウンスした。

 モーターサイクルの世界で象徴的な記号となっている“#46”の存在感を目指し、WTCRでも今季から独自のアイコンとして機能することを狙ったスペシャルデザインのカーナンバーを採用することとなった。

 ドライバー個別に考案されるこれらのデザインは、識別機能がメインとなるフロントスクリーンやボディサイドには反映されず、オンボードカメラに写りこむコクピット内やレーシングスーツ、TV中継の表示などで使用される。

 現チャンピオンのガブリエル・タルキーニは、タイトル防衛に挑む栄光の“#1”をデザインしたパーソナライズド・レーシングナンバーを最初に発表したひとりとなった。

「私自身のラッキーナンバーである#30を離れて、今季はカーナンバー1を付けることを決めたんだ」と、WTCR初代チャンピオンのタルキーニ。

「2019年のロゴデザインになっている“GT1”は、私自身のイニシャルであるGTとナンバーを組み合わせたものとした。そこに『野生のイノシシ』を加えてみたんだ。なぜなら、私のモータースポーツキャリア初期から、みんながそうやって私のことを呼んでくれたからね」

 そして、パーソナライズド・レーシングナンバーを発表したもうひとりのドライバーであるエステバン・グエリエリは、彼のFK8ホンダ・シビック・タイプR TCRに飾るデザインに、#86を掲げるトラをチョイスした。

「トラは僕の大好きな動物……というわけではないんだけど、孤高の存在で、生態系の捕食者で、アタックを仕掛けるときには冷静に状況を分析する。僕自身は”孤高”というキャラではないけれど、それ以外の部分ではトラック上の僕のパーソナリティにピッタリだと思ったんだ」と、今季からネストール・ジロラミとともにアルゼンチン・スクワッドを形成するグエリエリ。

イニシャルとナンバーを組み合わせた”GT1″に『野生のイノシシ』をチョイスした初代王者ガブリエル・タルキーニ
今季からアルゼンチン・デュオを組むエステバン・グエリエリ(右)はトラを選択

「僕自身はとてもオープンで社交的な性格だけど、仕事に臨むときはひとりの時間を作り、あらゆる分野で自分自身を改善することを心がけている。加えて、目だね。多くの人は僕の目を特徴的だと言ってくれるし、『トラのような目だ』とも言われるんだ」

 さらなるドライバー別のパーソナライズド・レーシングナンバーと、そのバックグラウンド・ストーリーは引き続き4月上旬のモロッコでの開幕戦までに順次公開される予定だ。

 また2018年はアウディスポーツ系のチームとして参戦したComtoyou Racingがクプラ・レーシングの支援を得て新たにセアト・クプラTCRを投入することも発表され、チームに残留するオーレリアン・パニスがステアリングを握ることが決まった。

 昨年はアウディスポーツのカスタマーチームとして4台のアウディRS3 LMSを走らせたComtoyou Racingは、各マニュファクチャラーにつき最大4台まで、という新規則に対応する形で新たに2台のセアト・クプラTCRを投入すると発表。その最初のドライバーとして、WTCR2年目のパニスと再契約したとアナウンスした。

 チームWRTレパード・ルクオイルが2台体制を敷くことに対応する形で、Comtoyouは新加入のニールス・ラングフェルドとフレデリック・バービッシュ用に2台のアウディRS3をキープし、その対となる2台にクプラ・レーシングのマシンをチョイスしたことになる。

 そのComtoyouクプラのリードドライバーとして残留した24歳のフランス人は、2018年ドライバーズランキング17位。日本ラウンドで最高位となる4位を記録している。

「昨シーズンにはぺぺ・オリオラを筆頭に、セアトはすべてのトラックで速かったことを覚えている。そのことに自信を感じるし、クプラ・レーシングやComtoyouと再び協力して戦うことができるのは光栄だ」と、元F1ドライバーのオリビエを父に持つオーレリアン。

「昨季はゼロから始める厳しさがあったけど、今は多くの経験を積んで最終的には良いペースに到達した。2019年はタフなドライバーたちを相手に表彰台に挑めればと思っている」

オーレリアン・パニスはComtoyou Racing残留。「継続性は非常に重要だ」
カンポス・レーシングの正式発表はないものの、クプラも4台体制を敷くとみられる

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