『凛−りん−』 久しぶりにキューンときたジュブナイル邦画!

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 私は『スタンド・バイ・ミー』や『ぼくらの七日間戦争』など、10代の甘酸っぱい青春を描いた、いわゆるジュブナイル映画が大好き! そんな私が久しぶりにキューンときた青春映画をご紹介します。

 原作は、芥川賞作家であり、お笑いコンビ・ピースの又吉直樹。2007年に上演した舞台のために、彼が書き下ろした脚本。「100年に一度、村から子供が消える」という言い伝えのある山奥の村に東京からの転校生がやってきたことをきっかけに行方不明事件が起きる——というお話です。

 岩井俊二が手がけたテレビドラマ「なぞの転校生」で素晴らしい演技を見せた本郷奏多が再び魅せるミステリアスな高校生役はもちろん、本郷とダブル主演を務める佐野勇斗もいい! アイドルグループの一員で普段は現代っ子らしいアカ抜けたイメージなのに、本作ではどこにでもいるようなフツーの高校生っぷりが最高です。

 男の子って、本当にしょうもないなあってつい微笑んでしまうような場面もありつつ、サスペンス的な場面ではピリリと引き締め、一人一人のキャラクター像が繊細に描かれているからこそ全員に感情移入できる。この、「気づいたら脇役の登場人物もみんな好きになってる!」感覚は、まさに冒頭で紹介した青春映画に通じるものがありました。それしても、こんなにも面白い脚本を書いていたとはやはり又吉さんってすごい! そして脚本を崩すことなく様々な青春映画への愛を込めたオマージュを散りばめてみせた池田克彦監督は、きっと私と同じジュブナイル映画ファンだと思います! だってめっちゃ愛情感じましたもの! ★★★★☆(森田真帆)

監督:池田克彦

出演:佐野勇斗、本郷奏多

2月22日(金)から全国公開

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