ブルース・スプリングスティーン「スプリングスティーン・オン・ブロードウェイ」 すべての真実を語り歌うボス

ブルース・スプリングスティーン「スプリングスティーン・オン・ブロードウェイ」

 これは17年10月3日から昨年12月15日までブロードウェイのウォルター・カー劇場で行われた公演からのライヴ・アルバムです。“オン・ブロードウェイ”というタイトルからブルースのミュージカルと早合点されそうですが、ミュージカルでもコンサートでもなく、彼一人が聴衆と向き合ったパーソナルなパフォーマンスから生まれた作品です。告白とも言える彼の語りと自らのギターとピアノだけでの演奏で彼の69年の人生とそこから得た思いを伝えます。

 「教会、学校、宿題」だけだった子供が56年にエド・サリヴァン・ショーでプレスリーを知った日から始まったロック人生。父親、母親、友人、バンド・メンバー、そして親として得た愛と真実。国の面子のために行われたベトナム戦争で死んだ友人への思いから作られたプロテスト・ソング「ボーン・イン・ザ・U.S.A.」。多くの犠牲を払って彼らが守ってきたアメリカの自由の精神を無視する現大統領を嘆きつつも我々に未来はあると熱く語ってくれます。

(ソニー・ミュージック・3200円+税)=北澤孝

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