市職員DIY

 市道に架かる橋の補修といえば、市が業者に発注するのが普通だろう。だが、お隣熊本県の玉名市では、市職員自ら補修作業に取り組むことがあるという。先日、長崎大の催しでそんな発表を聞いた▲玉名市が管理する橋は800本余り。2016年の熊本地震後に巡回すると、補修を要する橋が多数あることが判明した。地震の前から傷んでいたとみられる橋も多かった▲市の補修予算は限られている。緊急性や交通量などで優先順位を付けると、後回しになる橋が出てくる。だが用水路をまたぐ長さ数メートルの橋でも、住民にとっては唯一の生活道路ということがある▲そこで、自分たちでやれそうな小規模な補修ならやってみようと、現場の職員が発案した。必要な資格を取得した上で、雨水の浸透を防ぐために橋に塗料を施したり、剝離したコンクリートをモルタルで補修したり。名付けて「橋梁補修DIY」▲橋の劣化や傷みを発見すれば、外部に発注せず、すぐに修繕に取り掛かることができる。人手不足に直面する建設業者の仕事をカバーするという側面もあるようだ▲多くの自治体が予算の確保に悩む中、身近な公共インフラを将来にわたってどう維持していくかは全国的な課題となっている。自治体が知恵を絞って対応を考える時代になったといえそうだ。(泉)

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