野口五郎岳|1泊2日で行ける裏銀座!魅力と登山プランを大公開 北アルプスの裏銀座コースと言えば、登山者あこがれの大縦走コース。しかし、25キロにも及ぶ長距離縦走は最低でも4日かかり、とても日程を取れないとあきらめている人も多いはず。そこで、おすすめしたいのが名峰野口五郎岳1泊2日コース。なんと2日であこがれの裏銀座を体験できます。今回は、山行プランと登山情報、周辺の山小屋と温泉情報をご紹介します!

裏銀座の名峰『野口五郎岳』とは

  • 標高: 2924m
  • 所在地: 富山県富山市、長野県大町市
  • 最高気温(8月): 16.6℃
  • 最低気温(8月): 6.1℃

北アルプスのちょうど中間に位置する野口五郎岳(のぐちごろうだけ)は北アルプスを代表する縦走路「裏銀座」を構成する主峰の一つ。
標高約2500mが続く県境尾根は、素晴らしい眺めを楽しめるとあって、槍ヶ岳や穂高連峰にも引けを取らない人気の名山です。

名前の由来は?

山名に付けられる“五郎”とは、「岩がゴロゴロしている山」の意味。諸説ありますが、麓に大町市野口集落があり、山頂に岩がゴロゴロしている事から『野口五郎岳』になったとされています。
ちなみに、歌手の野口五郎さんの芸名はこの山から付けられたとのこと。

北アルプスを一望できる大パノラマ

山頂からの景色は圧巻!北アルプスの山々を一望できます。水晶岳や鷲羽岳など北アルプス深部の山々の姿の風景に、思わず息を呑むことでしょう。

裏銀座の魅力とは

北アルプスにはアプローチがしやすい山も多くありますが、裏銀座コースは中央に位置するので日数も必要。その為、人が少なく静かな山行ができることも魅力の一つ。
また、高山植物の宝庫とも言われ、コマクサやチングルマなどたくさんの花を見ることができます。

野口五郎岳の登山適期は?

ベストシーズンは高山植物のピークである7月下旬から8月中旬頃。梅雨が明けた青空の下、大展望と白い稜線に咲くピンク色のコマクサを愛でながら、最高の山歩きが楽しめますよ。
天気も必ずチェック

【中級者向け】1泊2日で行く裏銀座プラン

裏銀座コースをすべて踏破するには最低でも4日かかります。そんなに日程を取れない方のために今回ご紹介するのは、1泊2日の短めプラン。
1日10km以上を歩ける健脚者向けですが、限られた日数で北アルプスを楽しみたい方におすすめです。

おすすめの山行日程

  • 日程: 1泊2日
  • コース距離: 21.1km
  • コースタイム: 16時間35分
  • 難易度: ★★★☆☆

【1日目】七倉ダム→野口五郎小屋(宿泊)
スタート地点の七倉ダムに早朝に到着。時間短縮の為、タクシーで高瀬ダムに行き登山開始。ブナ立尾根登山ルートから野口五郎岳まで行き、野口五郎小屋で宿泊。
もし、1日目七倉ダム早朝到着が厳しい場合は、前日に縦走路上の烏帽子小屋に泊まり、そこからピストンすることも可能です。
【2日目】野口五郎岳→烏帽子岳→七倉ダム
・ブナ立尾根をそのまま引き返して下山。途中、日本二百名山の烏帽子岳を経由し登山口へ。

登山口までのアクセス方法

【マイカーの場合】
長野自動車道安曇野インターチェンジから車で約60分
七倉山荘前に50台(満車の場合は七倉ダム駐車場へ駐車)
特定乗合タクシーに乗車し高瀬ダムまで約15分(徒歩の場合は約6km、1時間30分程度)

【公共交通機関の場合】
JR大糸線信濃大町駅から特定乗合タクシーで約45分(料金は約8400円)

七倉~高瀬ダムの特定タクシー運行情報

前述の通り、七倉から登山口の高瀬ダムまでは、特定の乗合タクシーのみ通行可能です。
運行時間は少し複雑ですが、例年同じようなスケジュールなので参考にしてみてください。

【平成30年運行スケジュール】
4月13日(金) 10:00~19:00
4月14日(土)~7月13日(金) 6:30~19:00
7月14日(土)~9月2日(日) 5:30~19:00
9月3日(月)~9月30日(日) 6:00~18:00
10月1日(月)~10月15日(月) 6:30~17:00
10月16日(火)~11月4日(日) 7:00~17:00

引用:信濃大町なび

【注意事項】
・期間によって運行開始終了時刻が変わるので確認が必要です。タクシーを手配する場合は、事前に予約しておくことをおすすめします。

アルピコタクシー TEL 0261-23-2323
アルプス第一交通 TEL 0261-22-2121

北アルプス3大急登|ブナ立尾根登山ルート

【1日目】七倉ダム~野口五郎小屋

七倉ゲートから乗合タクシーで高瀬ダムへ。

ダム堰堤からトンネルを抜け、不動沢吊り橋を渡って砂地の河原を過ぎるとブナ立尾根登山口。いよいよ登山の始まりです!

ここから北アルプス三大急登の一つ「ブナ立尾根」が始まります。標高差約1200mとかなりの急登ですが、登山道は分かりやすく、整備されているので不安定な感覚はありません。

標識には登山口から番号が振られていて、12から始まり烏帽子小屋は0番。番号が減るのを励みに頑張りましょう!夏なら途中、センジュガンピやゴザンタチバナなど高山植物にも出会えます。

ブナ立尾根を登りきると、烏帽子小屋へ到着、最初で最大の関門を登り切りました。烏帽子小屋で受付すると、ここでテント泊も可能です。

烏帽子小屋で一息入れたら、気持ちのいい尾根歩きの始まり。まず、最初の目標地点、三ッ岳(標高2843m)へ目指し再出発です。

稜線は白い花崗岩質の岩と砂礫地の連続。夏はコマクサの群生地が登山を盛り上げてくれます。

尾根の急登を登りきると、三ッ岳への北峰へ到着。目的地の野口五郎岳が見え、その向こうには槍ヶ岳も顔をのぞかせます。

遠くに北アルプスの山々を眺めながら尾根道を歩き、最後の登りを上がれば、野口五郎小屋に到着。荷物を置いて、山頂へ向かいましょう!

小屋から約10分、野口五郎岳に到着です!山頂は広く360度の絶景。槍ヶ岳をはじめ、水晶岳や赤牛岳など、北アルプスの大パノラマが広がります!

北の方向を振り返ると今日歩いてきた長い稜線が見えます。しばし絶景を堪能したら、今日の宿泊地である野口五郎小屋へ戻りましょう。

【2日目】野口五郎小屋~烏帽子岳~七倉ダム

翌朝、せっかくなら北アルプスでご来光を拝みたいもの。再び山頂か、もし余裕があれば少し先の真砂岳で朝を迎えてみてはいかがでしょうか。
野口五郎岳に別れを告げて、下山は烏帽子岳を目指します。

1日目通った烏帽子小屋まで戻ってきました。ここから2日目の目標、烏帽子岳へ。

前烏帽子へ着くと烏帽子岳が目前に。山頂までは険しく狭いところを通るので、手前の分岐に荷物を置いておきましょう。
岩をよじ登り、クサリ場を上がると烏帽子岳山頂です。

烏帽子岳山頂からは、遠くにに劔岳が。しかし、山頂は鋭角な岩の頂上です。狭く危険なので十分注意してください。
烏帽子岳を後にし、1日目に登ったブナ立尾根を下山します。高瀬ダムから七倉までは乗合タクシーが使うか歩くかは、時間と体力を考えて決めましょう。

周辺の山小屋・山荘情報

今回の登山ルートに便利な山小屋や山荘などの情報をご紹介。今回のルートでテント泊を考えている場合は、烏帽子小屋のみ可能。また、七倉早朝到着が厳しい場合は、七倉山荘への前泊がおすすめです。

野口五郎小屋

野口五郎岳直下、家族経営のこぢんまりとしたな山小屋。裏銀座の長い縦走路の途中、突如現れる姿はまさにオアシスのようです。テント場はありませんのでご注意ください。

野口五郎小屋
住所:〒398-0000 長野県大町市(その他)
電話番号:090-3149-1197 (シーズンオフ時:0261−22−5758(上條))
営業期間:例年7月上旬〜9月下旬
宿泊料金(1泊2食):9,500円

野口五郎小屋

烏帽子小屋

ブナ立尾根を登り切った場所、裏銀座コースの起点として便利な烏帽子小屋。シラビソの森に囲まれた山小屋です。テント場も20張ほどあります。

烏帽子小屋
住所:〒930-1458 富山県 富山市 有峰
電話番号:090-3149-1198
営業期間:例年7月上旬〜10月上旬
宿泊料金(1泊2食):9,500円

烏帽子小屋

七倉山荘

裏銀座への入り口七倉に位置する七倉温泉の一軒宿。登山の前泊や、日帰り温泉としての利用も可能です。

七倉山荘
住所:〒398-0001 長野県大町市平高瀬入2118-37
電話番号:0261-22-4006
営業期間:通年
宿泊料金(1泊2食):9,000円
日帰り温泉入浴料:大人650円 小人300円

七倉山荘

下山したら行きたい温泉情報

下山したらやっぱり温泉。縦走の疲れをゆっくり癒しましょう。タクシー利用なら七倉山荘、マイカーなら高瀬川沿いの温泉がおすすめです。

葛温泉髙瀬館

高瀬川沿い、源泉かけ流し大自然に囲まれた秘湯の宿。北アルプスを背景に入浴できる野趣あふれる岩露天風呂が人気です。

葛温泉 高瀬館
住所:〒398‐0001 長野県大町市大字平高瀬入2118‐13
電話番号:0261-22-1446
営業時間:10:00~20:00(定休日無し)
料金:大人700円 小人400円

高瀬館

葛温泉 温宿かじか

こちらも高瀬川沿いにある、こぢんまりとした温泉宿。森林に囲まれた露天風呂が自慢です。

葛温泉 温宿かじか
住所:〒398-0001 長野県大町市平高瀬入2106
電話番号:0261-22-1311
営業時間:10:00~15:00(定休日無し)
料金:大人800円 小人500円

葛温泉 温宿かじか

憧れの裏銀座 野口五郎岳で静かな縦走を楽しみましょう

北アルプスのど真ん中、野口五郎岳を短い日程でも十分楽しめるプランをご紹介しました。憧れの北アルプス裏銀座「野口五郎岳」。十分な準備をして臨めば、最高の山行になること間違いありません!

【登山時の注意点】
・登山にはしっかりとした装備と充分なトレーニングをしたうえで入山してください。(足首まである登山靴、厚手の靴下、雨具上下、防寒具、ヘッドランプ、帽子、ザック、速乾性の衣類、食料、水など。)
・登山路も複数あり分岐も多くあるので地図・コンパスも必携。
・もしものためにも登山届と山岳保険を忘れずに!
・紹介したコースは、登山経験や体力、天候などによって難易度が変わります。あくまでも参考とし、ご自身の体力に合わせた無理のない計画を立てて登山を楽しんでください。

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