グラバー園保管の調度品 ゆかりの品 新たに3点 大半が来歴不明 学芸員の松田さん調査

 長崎市南山手町のグラバー園が保管する調度品など約3千点のうち、古写真46点が収められたアルバム、ついたて、陶器2体の計3点がグラバー家ゆかりの品と新たに判明し、計9点となった。同園の学芸員、松田恵さんが約2年にわたる調査で確認。現在、園内の調度品は大半が来歴不明の状況という。
 グラバーが自宅として1863年に建設した旧グラバー住宅は、1903年に息子の倉場富三郎へ管理が移った。39年、三菱重工長崎造船所に売却してから戦後、米国の進駐軍に接収され、57年に三菱造船長崎造船所が市に寄贈するまで、さまざまな人が居住。園内に残された大量の調度品のどれがグラバー家関連か分からなくなっている。
 2017年春に着任した松田さんは、園内の調度品を調査。今回見つかった昭和初期の「大食堂」の古写真などが収められたアルバムは、倉庫の本棚にあった。撮影時期などからグラバー家ゆかりと判断。倉場本人や葬儀の祭壇、化粧道具などの写真も含まれている。
 ついたては縦184センチ、横214センチ。これまで同住宅内の「温室」前の廊下にあった。これが「大食堂」の古写真に写り込んでいたためゆかりの品と分かった。
 陶器2体(縦112センチ、同96センチ)は同「温室」内にあった。調査で1874~1937年撮影の複数の古写真に写っていることを確認。グラバー家の時代に既にあったことが分かった。佐賀県が産地の白石焼で、インテリアとして使われていたらしい。
 同住宅は約50年ぶりに保存修理工事中。園内では旧リンガー住宅と旧スチイル記念学校で「グラバー特設展」を開催している。古写真のパネル展示のほか、グラバー家ゆかりの品々を並べた。松田さんは「グラバーの最新の研究を基にした特設展。この機会に見てほしい」と話している。

「大食堂」の古写真に写っていたついたて(グラバー園提供)
グラバー家の時代からあった白石焼の陶器2体(グラバー園提供)
「大食堂」を含む46点の古写真が収められたアルバム

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