白星発進

 強烈なシュートがゴールの枠に阻まれ、しかし、相手にも得点は許さず、じりじりと時計が進んで間もなく試合は終了。相手は昨季3位の難敵、このまま引き分けなら上々の滑り出しか▲…などとは、誰も考えていなかった。敵陣で得たフリーキックを起点にしぶとく攻めたて、最後は新加入の長身FW長谷川悠選手が浮き球を左足で豪快に蹴り込んだ。これがドスンとゴールネットを揺らして、目の覚めるような決勝点▲サッカーJ2のV・ファーレン長崎。ホームの諫早で行われた昨日の今季開幕戦を劇的な勝利で飾った。すっきり晴れた青空と春の風に誘われてスタジアムに足を運んだ1万人超のサポーター、大満足の一戦▲昨年、J1で壁の高さを幾度も実感し、心ならずも1年で舞い戻ったJ2の舞台。再び目指すJ1昇格は「悲願」ではなく、現実的な「目標」だ。今年のリーグ戦では“追われる立場”の厳しい戦いが続くことになる▲〈初暦/静かならざる日もあらむ〉山田みづえ。いい事ずくめの一年などありはしない、と心得ている。42戦の長丁場、ゴールが遠い試合も、不運な失点に泣くゲームもあるはずだ▲ともあれ、真っさらの勝敗表に幸先よく白星を書き入れてV長崎の2019年が始まった。チームの新しい挑戦、熱い声援で支えたい。(智)

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