【平成の長崎】V・ファーレン長崎J2降格 J1初昇格わずか1年 平成30(2018)年

 サッカーJ1で最下位の18位に低迷しているV・ファーレン長崎のJ2降格が11月17日、確定した。同日のJ2最終節で、J1のライセンスを取得していない町田が2位以内に入れなかったため、規定通りにJ1の下位2チームとJ2の上位2チームが入れ替わる。V長崎は今季2試合を残して17位以下が決まっていた。

 V長崎は10日のJ1第32節横浜M戦で敗れ、自動降格圏の17位以下が決定。J2で町田が2位以内に入れば、17位のチームがJ2との入れ替え戦に回れたが、町田が4位で全日程を終えたため、残留の可能性が消滅した。町田はスタジアムの収容人数や練習環境などの面でJ1の基準を満たしていない。

 今季のJ1は2月23日に開幕。初参戦のV長崎は第7節の4月11日、アウェーで清水からJ1初勝利を挙げると、そのまま4連勝して9位まで浮上した。だが、8月の第21~25節に5連敗して最下位に転落。9月の第26、27節は連勝したが、第28節以降は5試合勝ちなしと苦しみ、結果的に昇格から1年でJ2に戻ることになった。今季のここまでの成績は8勝5分け19敗で勝ち点29。

 V長崎は昨年、経営難が表面化し、5月に通販大手のジャパネットホールディングス(佐世保市)が完全子会社化。新体制1年目でJ1に昇格して、全国的に注目されていた。高田明社長は「多くの応援をいただいた中でのJ2降格に悔しい思いでいっぱい。今回の涙を笑顔に変えられるように頑張る」とコメントを出した。

 ◎厳しかったJ1の舞台 決定力不足で後半失速

 明治安田J2の最終順位が出た11月17日、J1で17位以下が確定しているV・ファーレン長崎のJ2降格が決まった。J1のライセンスを取得していない町田が2位以内に入れば、J1の17位が入れ替え戦に回れる可能性もあったが、これで残留への望みは完全に絶たれた。待ち望んでいたJ1デビュー、初勝利からの4連勝、後半戦の失速-。厳しかったJ1の戦いを振り返る。

 ■6試合未勝利

 V長崎のJ1デビュー戦は2月24日。同じくJ2から昇格してきた湘南とアウェーで対戦した。試合は田上のヘディングシュートで追いついたが、終盤に勝ち越しを許して1-2。手応えと悔しさが入り交じった船出となった。ホーム開幕戦となった3月3日の鳥栖戦も、澤田が先制点、鈴木が追加点を挙げながら、2-2で引き分けた。

 その後も初勝利まで、もどかしい試合が続いた。浦和と引き分け、札幌、仙台に1点差で惜敗。J2時代から続いていたホーム無敗記録も、FC東京に2-5で敗れて止まった。5失点はワーストタイ。高木監督も「個の力にグループでの戦いができなかった」と険しい表情を浮かべていた。

 ■待望の初勝利

 待望の初勝利は第7節の4月11日、アウェーでの清水戦。鈴木が前半23分に挙げた先制点を守り切り、1-0で競り勝った。主将の高杉は「やっとという気持ち。チーム全体が意思統一でき、守備から攻撃につなげられた」と喜びを口にした。

 この勝利でチームは勢いづいた。組織的な守備から縦に速い攻撃へつなげるサッカーで、G大阪、柏、磐田を連破。4連勝で9位まで浮上した。だが、第11節から広島、鹿島、C大阪に3連敗。ホームで名古屋に勝った後、横浜Mに2-5と大敗した。15位でW杯ロシア大会に伴う約2カ月の中断に入った。

 ■長いトンネル

 オーストリア合宿を経て迎えた“後半戦”。チームが改善点に掲げたのが、ボール保持率の向上だった。最終ラインからショートパスをつないで攻め上がる選択をした。だが、これが適切に機能しなかった。7月27日の第18節でFC東京に勝って以降、長いトンネルに入った。8月は7戦勝ちなし、5連敗で最下位に転落した。

 9月15日の第26節から名古屋と仙台に連勝。鈴木のハットトリック、中村慶、澤田ら主力のゴールで浮上のきっかけをつかみかけたが、残留を懸けた正念場のここから5試合未勝利。下位との直接対決も引き分けや1点差の惜敗が続いた。「内容よりも結果が大事な試合」(高木監督)で勝ち点3が奪えなかった。

 「不安定な守備」「決定力不足」-。前半戦で戦った相手がV長崎をしっかり研究してきた点も失速の要因だった。後半戦は17試合で13得点27失点。前半戦15試合の21得点26失点と比べて、得点力不足は明らかだった。決定機はつくっているが、ゴールを奪えない。そんな場面が続き、V長崎は1年でJ2へ逆戻りした。
(平成30年11月18日付長崎新聞より)
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【平成の長崎】は長崎県内の平成30年間を写真で振り返る特別企画です。

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