藤原竜也×香川照之「新しい王様2」はテレビの衰退を唱える人にこそ見てほしいドラマ

藤原竜也×香川照之「新しい王様2」はテレビの衰退を唱える人にこそ見てほしいドラマ

2月18日からTBSで地上波の放送が開始した連続ドラマ「新しい王様 Season2」。お金に関して異なる思想を持つ2人の“王様”がテレビ局の買収を目当てに、虚々実々の駆け引きを仕掛ける様子が痛快、そして時代を反映した描写にどこか虚無感の漂う作品です。

真逆の価値観で生きる2人の王様を演じるのは、藤原竜也さんと香川照之さん。藤原さん演じるアキバは「カネの力」や「所有する」ことに距離を置き、「大切なのはお金ではなく、何を経験し、何を感じられるか」と主張したり、環境問題やその保護には惜しみなくお金を使います。

一方、香川さん演じる越中はお金や女に目がない貪欲な投資家で、「おカネで買えないものがあるか? おカネを儲けて何が悪い!」と声を上げます。さらに、環境問題を危惧され出資が減っている状況下でも、自身が手掛ける海中カジノ施設を大きくするためにさまざまな手を使います。

Season2では東京のキー局・中央テレビの買収劇がさらに加速。元々動画配信サービス・Paravi(パラビ)で配信されていた本作ですが、地上波でもこんな言葉が繰り出されています。

テレビ番組に出演しコメントを求められたアキバの…

“取材したものをゆがめたり改変したりはやめようよ! そんなことばっかしてたら、いつかテレビ局やテレビそのものが誰かにゆがめられたり改変されたりしてしまうよ!”

という熱のこもった主張。

テレビ局に買収を仕掛けたことでマスコミに追われるようになると…

“ネットとテレビが共存することで最強のメディアになると思うんだよね”

と何もかもを悟ったような表情で、記者の前でアキバが明かした言葉。

さらに買収を逃れるためには視聴率を底上げし、株価を上げることが必要だと考え、

“局のイメージを左右する連続ドラマの視聴率を上げろ”

と役員の前で声高らかに提唱する中央テレビの社長の言葉。

「TBSはドラマに強い」というイメージが定着しており、ここ数年でも「逃げるは恥だが役に立つ」(16年)、「カルテット」(17年)、「アンナチュラル」「大恋愛~僕を忘れる君と」(ともに18年)など、挙げればきりがない話題作が相次いで放送されている局だと認識しています。

連ドラを大切にするテレビ局と、事務所の“大人の事情”で話題のドラマに出演する“女優A”と称される舞台女優。ドラマのクオリティーを下げたくない制作サイド。キャスティングにNGを出すことで左遷させられるのではないかと、言いなりになってしまうドラマ部長。そんなフィクションなのか、ノンフィクションなのか分からないテーマをセルフオマージュ的に扱い、さらにそこから生じる複雑な内情も山口雅俊監督が手掛ける脚本・演出によって軽快なテンポで描かれるため、ドラマとしてはもちろん、シニカルな視点でも楽しめてしまう本作。

TBSが自らの立場を顧みながらこのドラマを世に送り出していると思わざるを得ない、社会風刺的な一面が色濃く映し出されている「新しい王様」。Season2の第1話は、2月25日の第2話の放送まで動画配信サービス・TVerで、無料で視聴が可能となっています。“テレビの衰退”“テレビ離れ”を否定しない方や、“テレビは面白くない”と思っている方がこのドラマを見て、どのような感想を抱くのか聞いてみたいなと感じる作品です。

TBS担当 M・M

【番組情報】


「新しい王様 Season2」
TBSほか
月曜 深夜1:58~2:28

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