長崎県平戸市が風力発電譲渡 東京の企業、売電検討

 長崎県平戸市営生月町風力発電所をトラストバンク(東京)に無償譲渡する引き渡し式が25日、市生月町博物館・島の館であった。同社は2020年10月まで同館へ電力を供給するほか、九州電力へ売電する。その後は地域の電力会社として売電を検討するという。
 同発電所は2000年3月に完成し、約200世帯の1年分に当たる年間約86万キロワットを発電。同館への電力供給分以外は九電に売電し、17年度の売電額は約1700万円だった。市によると、風力発電施設の耐用年数が一般的に約20年とされており、将来的に解体した場合、約3500万円の費用がかかるとしている。昨年6月にトラストバンク側から風力を活用した電気事業に参入したいとの申し出を受け、市が無償譲渡を決めた。引き渡しは1月1日付。市によると、自治体が所有する設備を民間企業に無償譲渡するのは県内で初めてという。
 式には須永珠代社長らが出席。黒田成彦市長が須永社長に引き渡し証を手渡した。須永社長は「地域内で経済を循環させ、平戸を先行事例に事業のノウハウを各地に波及させたい」と述べた。
 トラストバンクは、同市の返礼品も紹介するふるさと納税のポータルサイト「ふるさとチョイス」を運営している。

黒田市長(左)と引き渡し証を持つ須永社長ら=平戸市生月町

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