3カテゴリーでシリーズ王者目指す ル・ボーセMS 今季の参戦体制 若手ドライバー育成にも尽力

 栃木県内には、モータースポーツのプロチームも存在する。茂木町に拠点を置く四輪レーシングチーム「ル・ボーセ モータースポーツ(MS)」は、2017、18年シーズンに引き続き今季もツーリングカーレースの「スーパー耐久シリーズ」、フォーミュラカーレースの「FIA―F4選手権」「スーパーFJもてぎ選手権」の3カテゴリーに参戦。指揮を執る坪松唯夫代表・監督は「レーシングカートからエントリーフォーミュラやミドルフォーミュラへのより効率的なステップアップ体制を継続するとともに、ツーリングカーも連携させた画期的な育成体制を確立し、全てのカテゴリーでシリーズチャンピオンを目指す」と意気込む。

スーパー耐久シリーズ 「最終戦を前にチャンピオン決めたい」

 ル・ボーセMSは2015年シーズンから国内ツーリングカーレースの最高峰カテゴリー「スーパー耐久シリーズ」のST―3クラスに参戦している。初参戦の15年こそシリーズポイントランキング6位に終わったものの、チームは着実にレベルを上げ、翌16年から3年連続2位と栄冠までもう一歩と迫った。特に17年、18年はいずれもランキング1位をキープして最終戦を迎えながら土壇場で他チームに逆転を喫しているだけに、指揮を執る坪松唯夫代表・監督は「2年連続で味わった悔しさを力に変えて、今季こそ悲願のシリーズチャンピオンを獲得したい」と意欲をみなぎらせる。

 今季のスーパー耐久シリーズは昨季と同様の全6戦で、昨季10年ぶりに復活した富士24時間大会も引き続き開催される。ル・ボーセMSは、レクサスRC350に新たなパーツを採用してさらなる進化を図る。ドライバーは、昨季に引き続いてベテランの嵯峨宏紀、山下健太を起用するほか、2012年シーズンにル・ボーセMSの一員としてスーパーFJ、全日本F3選手権を経験している小河諒が新加入。ル・ボーセMSを離れてからも、ワンメイクレースのポルシェ・カレラカップで13年、14年と2年連続チャンピオンに輝き、16年にはスーパー耐久シリーズST―4クラスにトヨタ・86で参戦して優勝を飾るなど経験豊富なドライバーだ。

 坪松監督は「新たなレギュレーションでさらに重量のハンディが大きくなるので、タイヤに厳しくなるなというのが正直なところ。経験と安定感が持ち味の小河が加わったこともあり、シーズンを通して着実にポイントを取っていくことで最終戦を迎える前にシリーズチャンピオンを決めたい」と期している。

 

FIA―F4選手権 「刺激し合えるコンビの快走に期待」

  昨季、全戦入賞の活躍を見せ、シリーズポイントランキング4位を獲得した4年目の川合孝汰と、昨季のスーパーFJもてぎ選手権でチャンピオンとなった18歳の神晴也の2人体制で臨む。神は2017年シーズンに別のチームでFIA―F4選手権を戦っており、2年ぶりの参戦となる。

 川合は参戦1年目の16年シーズン、地元のツインリンクもてぎ開催の最終大会で初勝利を挙げ、シリーズポイントランキングは11位。翌17年は表彰台を果たせなかったものの、全14戦中11戦で入賞となる10以内に食い込む粘り強さを発揮し、シリーズポイントランキングはチーム最高の8位に。そして昨季はシリーズ全戦入賞を達成するとともに、ホンダ、トヨタのメーカー系ドライバーの一角を崩すランキング4位と、この3年間で着実に順位を上げている。坪松監督は「川合は気持ちの波の大きさが課題でしたが、昨季は精神的にかなり安定していました。その反面、とんがった走りがなくなってきているので、今季はもっと欲を持つようにねじを巻かなければ」と、さらなる成長に期待する。

 一方、神は昨季のスーパーFJもてぎ選手権で4戦連続ポールトゥウインと圧倒的な強さを発揮し、最終戦を待たずしてシリーズチャンピオンを獲得。17年のFIA―F4選手権ではなかなか結果を出せなかった苦い経験があるだけに、今季をリベンジの好機と捉える。「覚悟を持って下のクラスのスーパーFJに来た神は、この1年間で自信を付け、レースの組み立ても本当にうまくなった。今度も覚悟を持ってFIA―F4選手権に戻るので、チームでしっかりと支えたい」と坪松監督。「川合も年齢の離れた神には負けられないと思って頑張ると思います。2人がシーズンを通して刺激し合っていくことでチームとしての強さをメーカー系のドライバーに見せつけたいですね」と力を込める。

 

スーパーFJもてぎ選手権 「競い合いで熱いドライバー育成したい」

 「有望な若手ドライバーの育成」を大きな柱に掲げるル・ボーセMSにとって、フォーミュラの入門レースであるスーパーFJは極めて重要なカテゴリーだ。実際、チームとして2年ぶりに参戦した2017年のもてぎ選手権は小倉祥太、昨季は神晴也と2年連続でチャンピオンに輝き、その育成システムのレベルの高さを証明してみせた。過去2年間はドライバー2人の体制で臨んできたが、今季は17歳から19歳のジュニアドライバー3人体制で3年連続のシリーズチャンピオンを目指す。

 ドライバーの岸本尚将と伊東黎明は、ともにレーシングカートからのステップアップ組で、ル・ボーセが昨年夏に開催したフォーミュラアカデミーに参加したことが参戦のきっかけとなった。一方、岩澤優吾は他チームから移籍したドライバーで、昨季のスーパーFJもてぎ選手権はシリーズランキング3位だった。

 坪松監督は「2人より3人の方が競い合いが激しくなりレベルアップが期待できるのと、うまくはまれば表彰台を独占できますから」と説明。「まだできあがっておらず、結果も出ていない彼らを、『レースに人生を懸けてやる』という熱いドライバーに育成していきたいですね」と意欲を示す。

 渡辺直明・文 / 写真提供:ル・ボーセMS

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