海保で高配当投資横行 若手の退職相次ぐ

 海上保安庁の若手職員らが、無登録で高配当をうたう投資運用団体に投資していたことが分かった。いずれも高額とみられ、「大金が手に入る」として、第3管区海上保安本部(横浜)を中心に全国で20代の退職者が少なくとも11人に上り、退職後は現役時代の同僚や後輩らを勧誘。同庁は実態調査を進めるとともに、職員に注意を呼び掛けている。

 3管によると、退職した11人はいずれも巡視船艇に乗船して3年未満の初任者。このうち3管は最多の7人に上り、団体と関与があると認めたのは3人、関与があると情報が寄せられたのは4人だった。

 同団体に絡む投資話は30代の元職員が元同僚や後輩を誘ったことで始まり、20代の職員を中心に広がった。公務員の肩書で消費者金融から借り入れて高額の投資をした後に退職し、今度は「大金を稼げる」と勧誘役に回るケースが相次いだ。

 同庁は2018年10月上旬、こうした情報を把握した。金融庁に確認したところ、同団体は無登録で投資を募っていることが判明。同月、全職員に向けて同団体に関わることのないよう注意喚起。若手職員を対象に投資に関するセミナーを開催するなど再発防止策を講じている。

 3管の宮崎一巳本部長は26日の会見で「政府を挙げて海上保安庁の組織や態勢を強化している中、職員がこのような形で退職をしていることについて、極めて重大な責任を感じている」と述べた。

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