5年ぶりとなるオリジナルは、本人プロデュースによる良質のポップス集だ。ただ本人が写るだけのジャケット周りの写真も自然体でこの作風を投影している。
本編の全5曲は、シンプルなバンド演奏と、豊かな感情があふれ出るような歌声が中心で、演奏や言葉によるギミックは皆無。ミディアム調のタイトル曲は、結局は変わらない愛の言葉こそが “Special Gift”だと教えてくれるし、松井五郎作詞の『瞳の向こうに』は、誠実な言葉と彼女の熱い歌声によって、“ぬくもりが答え”だと胸に刻まれる。
5曲目の『Witness』は真骨頂と言えるバラード。ピアノとストリングス、そして彼女のブレない歌声や歌詞に、相手の過去も許せるほどのしなやかさを感じる。本当の強さを教えられた気がした。
ボーナス曲には、デビュー前から彼女を推してきた佐藤竹善と、全米でヒットした『Don’t know much』をデュエット。メロウなハーモニーが一瞬にして平成初期の記憶を呼び起こす。本アルバムを聴けば、不特定多数からの「イイね!」よりも、たった一人の大切な人からの写真や文章に心が動くはず。
(ヤマハミュージックコミュニケーションズ・2400円+税)=臼井孝