<大ヒット盤> フレデリック『フレデリズム2』 メロディーとユーモアの絶妙なバランス

フレデリック『フレデリズム2』

 神戸で結成された4人組バンドによる2ndフルアルバム。全13曲、三原健司の甘さと強さを併せ持つ歌声や、J-POP黎明期のように憶えやすいメロディー、キャッチーな演奏、そして面白い言葉を選ぶセンスなど、前作に比べ随分と魅力が多層的になっている。

 特に「ばっくれたいのさ」という言葉が発音でも意味でも強く響く『逃避行』、サビの「桃源郷 待って 待って」というユニゾンのコーラスや畳みかける曲調で次々と展開する『TOGENKYO』など、メロディアスなのにユーモアの要素も強く、この絶妙なバランスからチェッカーズや米米CLUBを想起した。ここには“うた”がある。

さらに、曲順も上手い。『LIGHT』で軽やかに始まってから緩急をつけて様々なテンポのポップロック系の楽曲を配し、ダンサブルな12曲目『シンセンス』で最高潮に熱くなる。そして、ラスト『飄々とエモーション』が、このショーを総括するように、楽しい余韻を残しながら終わるのだ。

既に来春以降の大型フェスへの出演が続々決まっている彼ら。本作を聴けば、自分の世代ではないと諦めていたカルチャーへの関心がきっと高まるはず。

(A-Sketch・2700円+税)=臼井孝

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