つながりのある打線が魅力、沖縄での対外試合は7戦無敗
ヤクルト、DeNAでプレーし、昨年限りで現役を引退した田中浩康氏が、26日のヤクルトに続き、27日はDeNAの春季キャンプを訪問した。昨季までプレーした古巣だが、さらに激化の様相を見せるレギュラー争いに興味をそそられたようだ。
DeNAは26日に韓国・起亜タイガースと練習試合を行い、27日にキャンプを打ち上げた。練習試合では、一時は起亜に10点リードを許すも、7回に逆転。だが、9回に追いつかれ、12-12で引き分けた。その中で光ったのは、打線のつながり。沖縄での対外試合は7戦を行い、4勝3引き分けと黒星はない。
「競争が激化していると、改めて思いました。開幕オーダーがすごく気になりますし、楽しみです。0-10とリードされながらも、7回に10得点を奪うビッグイニング。締めは、一時は逆転となる宮本秀明外野手の満塁ホームラン。ベイスターズらしい攻撃でした。若手が多い布陣とあり、アピール合戦が止まらない感じで、必死にチャンスをものにしようとする姿が印象的でした」
ラミレス監督も若手の台頭に期待し、戦力の底上げをテーマとしてきた。激しいレギュラー争いは、さらに激化している印象だが、田中氏はどのポジション争いに注目をしているのか。
「キャッチャー、外野手の争いは注目です。捕手は伊藤光選手、嶺井博希選手、戸柱恭孝選手と経験のある3人がいる。外野手は主砲の筒香嘉智選手がいて、桑原将志選手、キャンプMVPに選ばれた神里和毅選手、期待の細川成也選手、佐野恵太選手、楠本泰史選手、2軍調整中の梶谷隆幸選手もいます。内野も外野も守れる中井大介選手が今年、巨人から加わり、オーダーのバリエーションはさらに増えると思います。レギュラーだけでなく、1軍に残るのも大変になってくるのではないかと感じました」
左肘の違和感で2軍調整となっている2年目左腕の東克樹投手を除けば、今キャンプではチームに離脱者がいなかった。
「チームトレーナーとも話をさせていただきましたが、大きな怪我がなく選手たちがキャンプを過ごせたというところが、充実のキャンプにつながっているのではないでしょうか。競争ができる土壌になっているなと思いました」
昨季本塁打王のソトは二塁定着か、キャンプでは基本動作を反復練習
今季、定位置が確約されているのは、一塁のロペス、三塁の宮崎敏郎、左翼の筒香のみ。捕手や外野手同様、二遊間のポジション争いも注目の1つだ。2017年に正遊撃手として全試合出場していた倉本寿彦内野手は、昨季は大和の加入により、遊撃だけでなく、二塁、三塁も守ったが、85試合の出場にとどまった。
「坪井打撃コーチが『この時期というのはあるけれど、全体的に打撃の状態はいい』と話していました。倉本選手も状態が良さそうですし、昨年のこともあるので、より今年にかける意気込みも強いと思います」
二塁はどうなるのか。昨季本塁打王に輝いたソトは、右翼、一塁、二塁と複数のポジションを守っていたが、今年はセカンドでの練習に時間を多く割いている。
「ソト選手はセカンドで基本動作を丁寧に反復練習をしていたし、必要な細かいステップもしっかり踏んでいました。アメリカでプレーした時も主にセカンドを守っていたという話を聞いていたので、楽しみですね」
ソトが二塁を守ることになれば、打順もいろいろな可能性が広がる。
「打順も含めて、毎日試合のオーダーが楽しみですよね。少しファン目線になってしまいますが……(笑)」
DeNAは3月2日から北海道に渡り、日本ハムとオープン戦を2試合を行う。その後、小牧、名古屋、福山、下関、静岡と移動が続き、本拠地でオープン戦を迎えるのは3月16日となっている。
「オープン戦は長いビジター生活になりますし、気温差もあります。少し過酷な部分もあり、体調面の心配もありますが、その中での開幕スタメン争いは目が離せません」
2年ぶりのクライマックスシリーズ進出、21年ぶりの日本シリーズ優勝を目指すDeNA。開幕にはどんな布陣で臨むのか、注目だ。
プロフィール
田中浩康(たなか・ひろやす) 1982年5月24日生。36歳。尽誠学園(香川)から早大を経て、05年にドラフト自由枠でヤクルト入団。粘り強い打撃と堅実な守備で活躍した。16年オフに戦力外通告を受けてDeNAに入団。二塁手でベストナイン2回、ゴールデングラブ賞に1回。通算302犠打は歴代5位。noteで有料マガジン「セカンド・ライフ」を執筆中。(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)