旧グラバー住宅修復過程を間近で 展望デッキ設置

 長崎市南山手町のグラバー園内にある「旧グラバー住宅」の保存修理工事に伴い、同市は1日までに、工事の様子を見学するための展望デッキを設置した。世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」の構成資産が修復される過程を間近で見ることができる。
 市によると、旧グラバー住宅は1863年に建築されたとされる国内最古の木造洋風建築。市によると、大規模工事は1966年以来で今年1月に着手した。
 4月ごろまでに「素屋根」と呼ばれる囲いで建物全体が覆われるが、その際に展望デッキの高さに合わせて囲いの一部に開口部をつくる予定。工期中に建物全景が見学できなくなる代わりに、瓦ぶき屋根の解体やしっくいの塗り替えなどの工程を「普段と違った角度」から楽しんでもらう。工事は来年11月の完了予定。
 展望デッキは全長約70メートル。傾斜を付けて建物を囲うように設置されており、高さや場所によって違った様子を見学できるよう工夫した。また、長崎港の景色を一望できる展望スポットとしても楽しめる。
 夫婦で約40年ぶりに来園したという大阪府豊中市の納所信光さん(67)は「工事中と知らずに来たが、前回と違って建物を上から見るのも趣があっていい」と話した。

工事中の旧グラバー住宅を囲む展望デッキ=長崎市、グラバー園

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