【ドラグをもう一度考える】リールマニアが“いまさら聞けない基礎”を徹底解説 ヒットさせた魚のキャッチ率と密接な関係にある、リールのドラグ機能。しかし、ドラグの役割や調整の目安を深く考えたことがない方も多いのではないでしょうか。今回はドラグの基礎を再考します。

もう一度、ドラグについて考えたい。

リールに搭載されているドラグについて、深く考えてみたことはありますか?

「いやいや、そんなの糸が切れなきゃなんでもいいんだよ」という方も多いのではないでしょうか。

今回は、ドラグの役割と釣果に及ぼす影響を徹底解明していきます!

解説するのはリールマニア

佐藤稜真

某リールチューンメーカー在籍時、Facebook・Instagram運営を手がけながら全国のイベントで年間100台以上のリールをメンテナンスしていた経験を持つ。

中学生の頃からカタログのスペックを暗記するほどのリール好き。関東のフィールドでのエリアトラウト・シーバスフィッシングをメインにしている。

そもそも、ドラグの役割とは?

魚がヒットした後に、ラインが限界を超えて切れないよう、一定の力がかかるとラインを放出してくれるのがドラグの役割です。

ラインの強度や対象魚に応じて調整することが大切で、緩めすぎても、締めすぎても不都合が生じます。

次項で、それぞれのデメリットと調整の目安を確認しましょう。

ドラグが緩すぎるデメリット

魚が寄らない

ドラグでラインを放出しすぎると、魚に反転させて走る余裕を与えることになり、当然魚は寄ってきません。

魚が走り回って周りの釣り人とラインが絡んだり、障害物に巻かれたりして獲物を逃すことに。釣り人が多い状況では、素早く魚を取り込むのもマナーです。

ラインがヨレる

ドラグを出しながらハンドルを巻くと、ラインにヨレ(ネジレ)が蓄積していきます。

ラインがヨレるとトラブルを起こして絡まったり、ラインが痛んで強度が低下したりすることに。「ドラグが緩い=ラインに優しい」というわけではありません。

針が貫通しない

ドラグが緩すぎるあまり、フッキングの際にズルズルと滑ってしまうようでは、針の刺さりが甘くなります。

針の刺さりが浅いと、すっぽ抜けが起こるだけではなく、針が曲がりやすくなるのです。

ドラグを締めすぎるデメリット

ラインが切れる

当たり前ですが、ドラグの設定をラインの限界以上にすると、ラインは切れてしまいます。

とくにフッキングの際に大きな衝撃がラインに加わるため、アワセ切れを起こす原因にも。伸びの少ないPEラインを使う際は要注意です。

ロッドをのされやすい

ドラグが出ないということは、魚の引きが吸収されずにロッドや釣り人に伝わるということです。

そのため、大型の魚が近距離でヒットした場合は、ロッドをのされた状態になりがち。そうなると一気にラインに負荷が掛かり、切れてしまいます。

針が伸びる

針の強度に対してドラグが強すぎると、針が伸びてしまいます。

掛かりを優先した細軸の針やオープンゲイブの針、トレブルフックは伸びやすいため、とくに注意が必要です。

ちょっと締めすぎかな……くらいを推奨!

一昔前のリールだと性能が低いドラグも存在しましたが、現在は組み付け精度やグリスが進化し、低価格帯のリールでも「切れにくいドラグ」が普及しています。

そのため、「ちょっと締めすぎかな?」ぐらいの強めのセッティングがおすすめです。

せっかっく強度の高いラインを巻いても、ドラグを無駄に滑らせては、ラインの強度がモッタイナイだけですよ!

保管するときは緩めてね

ドラグに入ってるワッシャが潰れてしまうため、保管時は絶対にドラグを緩めてください。ワッシャが潰れると、ドラグが効かないようになってしまいます。

やはり、ドラグは大切な機能

“縁の下の力持ち”とでもいうべきドラグ。正直、いい加減な設定でも魚が大きくなければ切られませんが、ビッグワンともなれば話は別。

ランカーサイズや想定以上の外道がヒットした際に備えて、適切なドラグ設定ができるようになっておいて損はないですよ!

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