H・C・栃木日光アイスバックス 期待の新戦力入団 大卒ルーキー鼎談

 今季もシーズン終盤に、将来有望な大卒ルーキー3人が入団した。日本リーグ・雪印で活躍した相馬健一さんの長男・DF相馬秀斗、日光期待の大型DF渡邉亮秀、スキルが高くゲームメーカーとしての期待が高まるFW出口圭太の3人だ。大卒ルーキーが3人そろって入団するのは、FW古橋真来、FW大椋舞人、DF石川貴大以来、3季ぶり。3人は入団会見で「ルーキーらしくチャレンジ、精神を持って精進したい」(相馬)「日光を代表するような選手を目指す」(渡邉)「氷に乗ったら先輩・後輩関係ない。とにかくがむしゃらに行く」(出口)と意気込みを語った。

 

――最初にそれぞれの持ち味を聞かせてください。

相馬 パスに自信があります。いまのアイスバックスのホッケースタイルに合わせ、いい形で攻め出せるようなパスを出していきます。

渡邉 スケールを生かして体を張ったプレーで貢献していきます。大学時代はシュートにも自信を持っていたんですが、アジアリーグではまだまだだと思うので、その辺も努力したいです。

出口 ゲームメークが持ち味です。多くの得点に絡める選手として頑張ります。

 

――昨シーズン在籍したフィンランドのレジエンド・DFテッペリ・ヌメリン選手のパスは見ましたか。

相馬 見ました。パスの感覚ってそれぞれ持っていると思うんですが、ヌメリン選手のパスは誰にもマネできないパスだと思いました。

 

――体を張ったプレーというと、パックスの先輩には河合龍一選手がいます。

渡邉 龍一さんは、すごいストイックで、自分というモノをもっている選手だと思います。それにプレーで、チームやベンチを盛り上げてくれる存在。そういう部分も大切だと思うので見習いたいです。

渡邉 亮秀

 

――出口選手の持ち味はゲームメークということですが、パックスでは寺尾(裕道、勇利)兄弟という存在がありますが。

出口 寺尾兄弟がパックを持ったら「何かが起こる」という期待感が生まれるじゃないですか。僕もそういう存在になりたいと思っています。

 

共通の先輩・勇利さんは偉大な存在

 

――3人は、出身地は別々ですが、相馬選手と出口選手は高校時代、渡邉選手と出口選手は大学時代にチームメートでした。また明治大と東洋大は、学生最後のインカレの決勝戦で対戦するなどライバル関係でした。再びチームメートとしてスタートを切ることになったわけですが、いかがですか。

相馬 うれしいですね。圭太は高校のころからきっとトップリーグに行くだろうと思っていましたし、また一緒になれてよかったです。

出口 秀斗も中学のころから「うまいな」と思って見ていたし、高校時代とはまた違うスタイルのチームで戦えるのでこれから楽しみです。

 

――渡遁選手は相馬選手、出口選手と初めて出会ったのはいつですか。

渡邉 中学の頃から、存在は知っていました。ちゃんと知り合ったのは高校に入ってからです。

 

――プロを意識し始めたのはいつごろですか。

相馬 声がかかれば高卒でトップリーグに行きたかったんですが、オファーはなかったので大学に進みました。大学でもずっとプロでやりたいと思い続けていました。

渡邉 僕は高校2年の時、一つ先輩の(DF大津)タ聖さんが、高卒でバックス入りしたので、そこから意識し始めました。でも僕も高卒で入れる実力はないと分かっていました。大学は、どこが一番、自分が成長できるかなと考えて、鈴木貴人監督(元アイスバックスFW)の東洋大を選びました。

出口 僕は高校3年の頃です。僕も東洋大を選んだのは鈴木監督がいたし、一番成長できると思い進学しました。もちろん「アイスタイム」(アイスパックスを描いたノンフィクション作品)も読みました。

 

相馬 秀斗

――相馬選手、出口選手は高校時代、渡邉選手は中学時代の1年先輩に、バックスのエースFW寺尾勇利選手がいましたが、寺尾選手は自他ともに認める「クレイジーな存在」だったと思いますが、大きな刺激になりましたか。

相馬 そうですね。かなりクレイジーな先輩です(笑)。高校の2年間、下宿も一緒だったので、ほほ毎日、勇利さんと一緒でした。とても大きな存在です。

出口 すごく尊敬しています。練習の段階から絶対に手を抜かないし、一生懸命だしパスも出せて、自分でも点を取りに行けるプレーヤーですので見習うべき先輩です。

 

完璧な男・秀斗、ガッツあふれる亮秀、圭太はテクニシャン

 

――お互いに、それぞれの長所を指摘してください。

相馬 亮秀は体がある上、シュートも速い。インカレではすごく点を取っていました。圭太はテクニシャンで、リズムというか自分なりの問を持っている選手で、DFとしては止めづらい選手でした。

渡邉 そうですね。圭太は誰もマネできないようなプレーを見せます。NHL張りのPS(ペナルティショット)とかもうまいです、それをアジアリーグで早く見たいです。秀斗は堅実な守りで波のないDFで、自分にはない面を持っています。コーナーでも簡単には負けません。ちょっとチャラそうなにおいがするんで(笑)、日光ではめを外さないよう注意が必要です。

出口 秀斗はオールマイティーなDFで、FWとDFのギャップコントロールもうまいです。完壁な男です。亮秀は体がでかくてガッツもあるし、ゴールも期待してます。

 

――背番号の理由はなんですか。

相馬 高校時代、先輩の勇利さんが主将になった時に譲り受けた8番です。駒大苫小牧のキャプテンは19を付けるのが伝統になっていて、それで「これはお前が付けろ」と言ってくれました。憧れるDFドリュー・ダウティー(NHL=北米ナショナルホッケーリーグ=ロサンゼルス・キングス)も8を付けているので8にこだわっています。

 

――名前が秀斗ですが、シュートになぞらえて付けられたのですか。

相馬 やはり父(健一さん・元雪印DF)が、ホッケーに関係する名前にしたかったらしくて、秀斗になりました。

渡邉 僕も好きな選手の番号日です。DFトロイ・ステッチャー(NHLバンクーバーカナックス)と同じ番号にしました。

出口 僕は、FWエフゲニー・クズネツォフ(NHLワシントン・キャピタルズ)にちなんで92に決めました。

出口 圭太

 

――2019―2020シーズンの目標は。

相馬 10ポイントくらい。

出口 低くねぇ?

相馬 まずは試合に出ることだけど…。

渡邉 僕もアイスタイムを確保できるよう努力して、3セット目以上に入りたいです。で、15ポイント?厳しいかな。11ポイントくらいにしておきます。

出口 まずはレギュラー定着と、FWなので8ゴール、10アシストくらいは目指そうと思います。

 

――こうして大卒ルーキーが3人そろって入団するのは、3季ぶりです。パックスの次代を担う存在として期待しています。

相馬 頼もしい同期の2人と一緒にチームを底上げしていきたいです。システムに早く慣れて、組織にフィットできるよう努力します。

渡邉 2人ともすごくうまい選手で、いいライバル、いい同期に恵まれたなと思います。自分がレベルアップする上でもありがたい存在です。DFの秀斗には負けたくないです。システムの理解はもちろん、頭を使い、いいスケーテイングで貢献していきます。

出口 3人で助け合いながら、チームが盛り上がるように頑張ります。アジアリーグはスピードあるリーグで大変ですが、最後まで諦めずハードワークしていきます。

 

 

相馬秀斗(そうま しゅうと)

1996年5月1日生まれ。北海道札幌市出身。175㎝、75㎏。札幌元町中→駒津大学附属苫小牧高→明治大。中学3年で、フィンランドのホッケーキャンプ(約2週間)に参加し、「日本人でも通用する」と自信をつかんだ。日本代表歴・ユーロアイスホッケーチャレンジ2018(フル代表、リトア二ア)

 

渡邉亮秀(わたなべ あきひで)

1997年3月9日生まれ。日光市出身。183㎝、86㎏。日光東中→日光明峰高→東洋大。全国中学大会連覇、イン空ハイで準優勝の経験がある。日本代表歴・世界選手権U20、2017ユ二バーシアド大会

 

出口圭太(でぐち けいた)

1996年6月17日生まれ。北海道苫小牧市出身。178㎝、73㎏。苫小牧東中→駒澤大学附属苫小牧高→東洋大。全国中学大会(中1)で準優勝。中3で苫小牧選抜チームに入り、全国選抜大会で準優勝。日本代表歴・世界選手権U18、2017ユニバーシアード大会

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