【MLB】初球ストライク率70%…元Gマイコラスが誇る驚異の数字「彼以上の投手いない」

カージナルスのマイルズ・マイコラス【写真:Getty Images】

昨季最多勝のマイコラスは「容赦なくストライクを投げる」

 元巨人のマイルズ・マイコラス投手が、カージナルスと来季から4年総額6800万ドル(約76億1000万円)で契約延長に合意した。米復帰1年目の昨季は18勝(4敗)を挙げ、ナ・リーグ最多勝に。最大の武器は、200イニングに到達(200回2/3)しながら与四球数はメジャー最少の「29」というコントロールだった。積極的にストライクゾーンを攻めることで、メジャーの猛者たちを手玉に取った投球が、カージナルスの若手にとっても最高の教材になると米メディアが称えている。

 昨季のマイコラスの9イニングあたりの与四球数はわずか「1.3」。もちろん、リーグトップの数字だった。米スポーツメディア「ジ・アスレチック」は「マイルズ・マイコラスは容赦なくストライクを投げ、カージナルスの若手選手に良い例を示している」とのタイトルで特集を掲載。その投球スタイルが名門球団の若手投手に好影響を与えているという。

 特集に登場するのは、ジャック・フラハーティ投手。デビュー2年目の昨季、28試合登板で8勝9敗、防御率3.34という成績を残した23歳の右腕だ。

 記事では「ジャック・フラハーティはより効率的にアウトを取ることに取り組んでいる」と紹介。そして「チームメートのマイルズ・マイコラスが助けになる。アグレッシブなアプローチで素早くアウトを取ることに関して、メジャーリーグで彼以上の投手はいない。カージナルスもそれを認識していて、今週、彼と4年6800万ドルの契約延長をした」と、マイコラスを高く評価している。

 ジョン・モゼリアック編成本部長、オーナーのビル・デウィットJr.氏が称賛しているのは「マイコラスのリーダーシップの素質」だという。「チームメートの若手たちを成功へ導くためにマイコラスができることとして、完全に明らかなことがあり、それは容赦なくストライクを投げることを示すことである」。つまり、昨季のような投球を続けることだけでも、カージナルスの若手投手にはいい影響があるというのだ。

マイコラスは「球界最高の制球力を誇る投手」

 特集では、昨季のマイコラスの初球ストライクがメジャー1位の70%以上だったというデータを紹介。メジャーの打者は昨季、初球の成績が打率.340、出塁率.350、長打率.577だったのに対して、0ボール1ストライクでは打率.218、出塁率.264、長打率.350と大きく数字が下がったという。ピッチャーが初球にストライクを奪えば、優位に立てることは明らかだ。

 フラハーティはマイコラスの投球について「彼がどれほどよくゾーンに投げるか見ていたよ。僕が成功していた時、同じようなことをしていた。メジャー最高レベルの投手たちの多くは、ストライクを投げるのもトップレベルなんだ」と証言。自身も「初球ストライク」を実践できれば、好投できるという手応えがあるようだ。

 一方で、2年目を迎えるマイコラスが研究されることは避けられない。初球を積極的に狙ってくる打者は確実に増えるはずだ。その時にも同じことを続けられるのか……。今季の大きな課題となるはずだが、本人は全く不安を持っていないようだ。記事では「マイコラスが語ったところによると、鍵は彼が直球以外の4球種でストライクを投げられることである。それは極めて珍しい」とした上で、本人の「僕がストライクばかりを投げるとしたら、打者はどんな状況でも1球も見逃せない。それが狙いだよ」というコメントを紹介している。なお、マイコラスは昨季、スライダーで50%の確率でストライクを投げており、これは「変化球では極めて高い数字」だという。

 特集では最後に「カージナルスの投手陣は、マイコラスという球界最高の制球力を誇る投手を擁していながら、昨季与四球が多かった。マイコラスの与四球率は3.6%であり、メジャー1位だった」と指摘。そして、モゼリアック編成本部長の「昨季のマイルズの投球により、彼は我々のローテーションの支柱になった」という称賛のコメントを紹介した。日本で飛躍へのきっかけを掴んだ右腕は今季、カージナルスのローテーションを牽引するだけでなく、若手投手へのお手本としても大きな役割を果たすことになる。(Full-Count編集部)

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