回流水槽と風洞が完成 西日本流体技研

 流体実験装置の開発・製造を手掛ける西日本流体技研(佐世保市小佐々町)は、回流水槽1基と風洞1基を完成させた。水槽は、沖縄科学技術大学院大学(OIST)向けに開発して納品。風洞はミャンマーへの政府開発援助(ODA)として、ヤンゴン工科大に納める。
 水槽は「水平循環型インペラ式往復振動流システム」と呼ばれる装置。ドーナツ型で長さ5メートル、幅1.5メートル、高さ1.2メートル。一方向だけでなく、両方向に水流を制御できる。流れの向きは5秒~12時間半の周期で変えられるほか、水温は5~30度、流速は秒速0.1メートル~1.0メートルまで調節可能で、海域の流れを再現できる。
 底には砂を入れることもできる。OISTでは、サンゴやイカ、チンアナゴの生態観測などに活用する予定。飼育や繁殖、保護に関する研究への貢献が期待されている。納入した際には「想像していたよりいい製品だ」と高評価を受けたという。
 風洞は、ファンが直径1.4メートルあり、最大秒速20メートルの風を発生できる。観測部は長さ7メートルあり、模型を置く部分は回転でき、どの角度からでも風を当てられる仕組み。
 3月中にミャンマーに出荷し、7月にも現地で組み立てる。橋の設計のための調査、実験に活用。現地の土木工学の指導者育成に役立てる。
 西日本流体技研は、回流水槽の国内シェアが9割超を誇る。石井正剛代表取締役社長は、新たな分野でのビジネスを模索しているとして、「これまで付き合いがなかった業種にも手を広げ、技術力をどう生かしていくのかを考えたい」と語った。

OISTに納入した「水平循環型インペラ式往復振動流システム」(西日本流体技研提供)
ミャンマーのヤンゴン工科大に納入する風洞

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