VW 新型パサートを世界初公開【ジュネーブ国際モーターショー2019】

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VW初となる部分自動運転を実現した新型パサートが登場

高度な先進機能を備えた第8世代の「パサート」が、第89回ジュネーブ国際モーターショーでデビューした。新型パサートは、本モデル初となる「トラベルアシスト」を搭載している。

トラベルアシストとは

トラベルアシストとは、0~210km/hの速度域において、部分自動運転を可能とする機能。ただし、ドライバーはシステムを監視し続ける必要があることから、トラベルアシストはドライバーがステアリングホイールを握っているかの検知を行う機能。

ステアリングホイールから10秒以上手を離していると、ドライバーに警告(視覚信号、音声信号、ブレーキの脈動)を発する。この警告にドライバーが無反応な場合、エマージェンシーアシストを起動して自動制動を行い、停車させる。

多様な支援システムを搭載できる新型パサート

もう一つの新機能は、ブレーキによる回避操作で安全性を高める「エマージェンシーステアリングアシスト」。最新世代のアダプティブクルーズコントロール(ACC)は、プレディクティブ(予測)クルーズコントロール機能を備えている。

以前は車間距離制御のみ行っていたACCだが、制限速度や場所、カーブ、ランナバウト、交差点などに対応して車速を調整できるようになった。

また、新しいマルチファンクションカメラにより「レーンアシスト」の案内機能がさらに充実。車線だけでなく道路脇の空間も検出可能になった。

さらにVWは、電気機械式ブレーキサーボ(eBKV)の性能を大幅に向上させた。このシステムはパサートの全モデルに搭載しており、ブレーキの反応時間を短縮している。これにより、ブレーキへの介入がより緻密に行えるようになった。

そして歩行者検知機能付きフロントアシストと連携によって制動距離はシステムの限界内で大幅に短縮している。

外装(エクステリア)の刷新と新たなライトデザイン

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今回のモデルチェンジによってフロントとリアのバンパー、ラジエーターグリル、リアの中央部分に移されたパサートのロゴなどは、すべて新たなデザインになった。さらに新たなLEDヘッドライト、LEDデイタイムランニングライト、LEDフォグライト、LEDテールライトなどに、特徴的なライトデザインを採用している。

また「IQ.LIGHT」と呼ばれるLEDマトリックスライトも用意された。交通状況に合わせてヘッドライトを調整できるため、夜間の運転がより安全になる。2つのLEDプロジェクションシステムが、ロービームとハイビームを実行する。

ターンシグナル、デイタイムランニングライト、サイドライトにもLEDが採用された。光るダイナミックターンシグナル機能を備えたLEDは、ヘッドライト上に細い水平のストライプとして配置した。ターンシグナルでない時はデイタイムランニングライトとして機能する。またデイタイムランニングライトのLEDは、ロービーム使用時にサイドライトにもなる。

さらにドライバーは、オートマティックデイタイムヘッドライトをオンにするだけで「ダイナミックライトアシスト」を使用できる。その後の操作はパサートが行い、ロー、ハイビームを市街地走行に適した照射、高速走行に適した照射と、すべて自動的に行われる。

魅力的な内装(インテリア)

新型パサートの内装は、生地のデザインを変更した新しいドアトリム、トリムカラー、インストルメントパネル、ステアリングホイールなどが特徴となっている。

ダッシュパネルにはこれまでのアナログ時計ではなく、バックライト付きのスタイリッシュなパサートロゴを配した。センターコンソールは、大型の収納スペースを備えている。ここにはオプションで、スマートフォン用のワイヤレスチャージング機能とUSB-C端子を設置できる。

新しいデジタルコックピットを採用

新型パサートでは11.7インチを採用。ディスプレイには3つのモードがあり、マルチファンクションステアリングホイールのボタンをタッチして変更する。ディスプレイのコントラストは、さらに鮮明になった。

高品質なサウンドは、デンマークのハイエンドオーディオメーカー「ディナウディオ」が専用設計した700Wのサウンドシステムにより、パサート史上最高品質のサウンドを提供する。

オンライン常時接続にも対応

VWは幅広い範囲で、新型パサートデジタル化を推進した。SAMSUNG製スマートフォンの対応機種であれば、ドアロックの解除やエンジンを始動できるモバイルキーとして使用できるほか、スマートフォンのアプリを統合した「Volkswagen App Connect」は、VW初のiPhoneアプリをワイヤレスに統合する。これによりパサートを常時、オンラインに接続することが可能となった。

今後はリアルタイムの情報を活用するナビゲーション関連サービスの品質が向上することに加え、新しい技術や内容、例えば、音楽のストリーミング配信、インターネットラジオ、日常会話に対応したオンラインベースのボイスコントロール、Volkswagen We(オンラインサービス)のシームレスな利用、さらに将来的には、クラウドベースのポータブルな車両設定ができるようになる予定だ。

またFM、AM、DAB(欧州の一部で採用されているデジタルオーディオ放送規格)に加え、オンラインラジオも楽しめる。パサートの乗員は、Wi-Fiホットスポット経由でスマートフォン、タブレット端末、e-ブックリーダーなどのデバイスをインターネットに接続できる。オンライン接続によりパサートでは、日常会話に対応したボイスコントロールも利用可能になる。

ボイスコントロール機能の起動は、“ハロー フォルクスワーゲン”と発話するだけ。これにより主要なナビゲーション、電話、ラジオなどをボイスコマンドできる。

例えば、「ハンブルグのユングフェルンシュティークに行きたい」と言えば、ナビゲーションが起動する。さらに、テキストメッセージの読み上げも可能だ。

Volkswagen Weについて

このデジタルプラットフォームは、外部のパートナーが提供するモビリティサービスを統合したもの。VWは、“We Park(キャッシュレスな駐車場利用料の清算)”、“We Deliver(車両アクセスベースの各種サービス、サービスパートナーに車両へのアクセスを提供)“などの新しいコンセプト用のスペースを創出する。

市街地でのゼロエミッション

VWは新型パサートの発表にあわせて、量産型に近いコンセプトカーとして新型「パサート GTE」も公開した。

新型パサート GTEはさらに大容量になったリチウムイオンバッテリーを搭載しており、そのエネルギー容量はこれまでの9.9kWhから13.0kWhへと31%も大きくなった。

またEVモードでの航続距離も伸びている。新しいWLTPモードでの航続距離は約55kmで、NEDCモードでは約70kmになった。さらに作動モードの新しい設定により、目的地が市街地の場合e-モード用の電力を残しておくことが以前よりも容易になった。

家庭用電源などを用いた充電

パサート GTEは、3.6kWに対応したバッテリー充電器を搭載している。230V/2.3kWの家庭用電源に接続すれば、6時間15分で満充電にできる。

ウォールボックスや360V/3.6kWの充電ステーションを用いた場合、充電時間は4時間に短縮される。

VWブランド最高執行責任者 ラルフ ブランドステッター氏のコメント

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2019年の春に、3000万台目のパサートがラインオフします。これによりパサートは、世界でもっとも成功したミッドサイズクラスカーになります。今回の技術面でのアップデートは、ビジネスのためのベストな選択肢というポジショニングをさらに強固なものにするでしょう。

パサートは、常にテクノロジーの進歩を反映してきました。今回も例外ではありません。トラベルアシストの公開により、パサートは、あらゆる速度域で部分自動運転を実現する初めてのVWになります。これは完全自動運転につながる大きなマイルストーンになるものです。

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