入場制限に顔認証 ギャンブル依存症対策 政府が基本案

IR施設の誘致先として有力視されている横浜港の山下ふ頭=横浜市中区

 政府は9日までに、ギャンブル依存症対策を推進するための基本計画案をまとめた。競馬や競輪などの公営ギャンブル、パチンコの事業者に依存症患者の入場規制強化に向けた顔認証システム導入の検討などを求めるのが主な内容。26日までインターネット上で意見公募(パブリックコメント)を実施し、4月に閣議決定する方針だ。

 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の整備を前に、懸念されているギャンブル依存症への対策を強化する。

 競馬や競輪などの公営ギャンブルでは、現状でも本人や家族からの申告に基づいて依存症患者の入場を制限しているが、入り口や場内での警備員の目視で対応しており、実効性の確保が課題だった。

 基本計画案によると、顔認証システムは2021年度までに各会場の特性を考慮した上で、導入への研究を進める。パチンコ業界でも19年度中に本人の同意がなくても家族の申告による入店制限を開始し、顔認証システムについても検討するよう促す。

 昨年末時点でパチンコ店で約1100店舗、公営ギャンブルで一部会場に設置されている現金自動預払機(ATM)は19年度から撤去。広告や宣伝に関しては指針を作成し、文字の大きさやテレビコマーシャル内の一定の秒数を確保して注意喚起する。

 患者の治療や回復支援も行う。20年度までをめどに全都道府県・政令指定都市に相談や治療の拠点を整備。多重債務などに悩む患者のため、依存症に配慮しながら対応できる司法書士を養成する。

 このほか、学校での指導や依存症の実態調査などが盛り込まれている。

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