ロス・ブラウン、F1イギリスGPに関する協議の長期化に苛立ち。「考え方に相違がある」

 F1イギリスGPの開催地であるシルバーストンの2020年以降の立ち位置については、F1版の“EU離脱”とも捉えられており、協議は長らく進展が見られない状態が続いている。

 リバティ・メディアとBRDC(ブリティッシュ・レーシング・ドライバーズ・クラブ)が合意に至ればイギリスGPはカレンダーに残ることができるが、二者間の話し合いが進まず、F1のモータースポーツ担当マネージングディレクターであるロス・ブラウンは苛立っていることを認めた。

 シルバーストンはグランプリ開催に関するコストが上昇していることを理由に、2017年に、この年のレース以降の契約を中断するための条項を発動させた。当初は新たな契約が迅速に締結されると見られていたものの、協議はいまだ続いている。

「シルバーストンとは解決策を探り出したい。しかし考え方に相違がある。かけ離れてはいないが、ソリューションが見つからない状態に苛立っている」とブラウンは語る。

リバティ・メディアの望みは歴史的なグランプリをこの先も継続させていくことであり、ブラウンはこの考えに対して疑念を抱いてもらいたくはないと考えている。しかし、会場が変更になる可能性はあるとしている。

「我々はイギリスGP開催を、できればシルバーストンで確実に維持していきたいと決意している。これが最後のイギリスGPになることはないと思う」とブラウン。

「シルバーストンか他の開催地かということは、別問題だ。イギリスでのレースは我々にとって重要だ。そしてシルバーストンは過去何年にもわたって、イギリスGPの会場となってきた」

「しかしながらイギリスGPはブランズハッチで開催されていたこともある。ブランズハッチとシルバーストンで交互にレースを行なうという考えも、それほどおかしなものではない」

 契約上の議論によりカレンダー落ちの危機にあるF1の主要なグランプリは他にもあり、イギリスGPもそのうちのひとつだ。しかしブラウンは、この状況は異常なものではないとしている。

「将来の見通しを提示しなければならない。多くのレースがリニューアルし、定期的に入れ替わりがある。すべてが同じ立場にあるというわけではないのだ」

「けれどもF1に重要なレースがあるということもまた、事実だ。それらはF1の歴史の一部なのだから、戦うことなく失ったりはしたくない」

「我々は解決策を見つけるべく努力する。しかし主催者側の状況も変化する。そういった変化に、常に合わせられるわけではない」

「合わせる努力はするが、他の主催者たちに対しても公平であるべきだ。解決策はあると考えているが、それを見つけるためには全員が懸命に取り組まなければならないのだ」とブラウンは説明した。

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