宮城の中高生、横浜で13日演奏会 楽器寄贈に感謝の音色

放送をきっかけに神奈川県内から贈られた楽器を喜ぶ生徒たち=2011年10月、宮城県本吉町

 東日本大震災から8年。宮城県内の中高生でつくる記念吹奏楽団が13日、横浜みなとみらいホール(横浜市西区)で演奏会を開く。震災で愛用の楽器を失った多くの生徒に笑顔と希望を届けようと、FMヨコハマ(同)が番組で楽器の寄付を呼び掛け、神奈川県内から贈られた楽器で音楽を続けてきた生徒も。演奏会では支援への感謝の音色を高らかに奏でる。

 「東北の被災3県の吹奏楽部は楽器が足りず、1台を3人で回して練習している学校もある」

 FMヨコハマの制作2部長加藤直裕さん(53)は2011年春、同僚からこの話を聞き、目頭が熱くなった。自身も吹奏楽でトロンボーンを演奏しており、新学期なのにさみしい思いをしている生徒たちが気になって仕方なかった。

 震災直後から、神奈川からできる被災者支援を模索していた。「FMヨコハマは音楽ステーション。音楽を通じて、心に一筋の明かりをもたらす支援ができるのでは」

 6月の1カ月間、被災地の子どもたちに楽器を贈ろうと番組で呼び掛けた。神奈川は吹奏楽が盛んで、引退後も楽器を大切に保管していた人たちからの寄付が相次いだ。「『亡くなったご主人の形見』という楽器もあった。それでも役に立ててほしいという気持ちが強かったのでしょう」と加藤さんは振り返る。

 トランペットやクラリネットなど400台以上集まり、セントラル楽器(横浜市神奈川区)がボランティアで楽器の手入れを買って出た。すぐに使える楽器だけを選び、被災3県の吹奏楽部生のための楽器支援活動「宮城県楽器BANK」を通じて寄贈することになった。

 楽器を積んだトラックは7月11日に仙台市に到着。生徒らの手に届いた様子をFMヨコハマの人気番組「THE BREEZE」の街角リポーター藤田優一さんが生放送で報告した。生徒たちは寄贈された楽器などで、神奈川出身の人気グループ「いきものがかり」の「ありがとう」を演奏。加藤さんは「つながった、という手応えがあった。私たちが大切にしているのは『子ども』と『音楽』。復興のあしたを担う子どもたちには、せめて笑顔になってほしい、希望を持ってほしい」と力を込める。

 13日の演奏会を主催する宮城県吹奏楽連盟は「震災以降、FMヨコハマの呼び掛けでたくさんの支援をいただいた。演奏会では感謝の意を表したい」と話す。

 午後6時開演。入場無料だが、入場には整理券が必要。問い合わせは、同連盟事務局電話022(275)6761。

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