【MLB】イチローの“日本開幕戦後”を米敏腕記者が予想「永遠に続く選手はいない」

マリナーズ・イチロー【写真:田口有史】

オープン戦では結果が出ていないイチロー「一般的な選手であれば…」

 マリナーズのイチロー外野手は今季、マイナー契約で招待選手としてスプリングトレーニングに参加している。今月20、21日の日本開幕戦ではロースター入りする予定となっているが、「その後」については不透明な部分が多い。米国の敏腕記者は特集記事で「イチローがノーマルであれば、彼はイチローとはなり得ない」と指摘。通常の選手であれば引退の可能性が高いが、背番号51がどのような決断をするかはわからないと見ている。

 今年のオープン戦では11試合に出場し、23打数2安打の打率.087、2打点、1盗塁、7三振という成績のイチロー。開幕への準備期間の試合とはいえ、3月1日(日本時間2日)のブルワーズ戦の第1打席以降、6試合連続、16打席連続無安打と結果が出ていない。

 米スポーツメディア「ジ・アスレチック」では特集を掲載。敏腕記者として知られるケン・ローゼンタール氏が今後の展開を予想している。同記者は「一般的な選手であれば、時が訪れたことを理解し、スプリング・トレーニングでの憂鬱なスタートや、45歳にしてさよならを告げることは恥ずべきではないことが分かるだろう」としつつ、「しかしイチローがノーマルであれば、彼はイチローとはなり得ないだろう」とも分析している。

 では、実際にどうなるのか。記事ではまず「誰もが最も望まないのは、イチローの殿堂入りに値するキャリアが不格好に終わってしまうことだ」と指摘。“引き際”の大切さを説きながらも「しかしスーパースターは終わりが近づいていることを認識できないものだ。無限の自信が、彼らを偉大にしたのである」とも言及している。

 ローゼンタール記者は、あくまで現役引退は本人が決断すべきことだと強調。「アスリートの引退に関する決断について、公の場で議論されることはふさわしくない。決断は個人的なものであり、アスリートに属すべきものだ」としている。一方で、「しかし彼が引退を敗北だと見なしていても、彼は永遠に続く選手はいないと、理解しなくてはいけない」とも……。

同僚のゴードンは「もし彼がプレーを続けなければ、死んでしまうと思う」

 そして、45歳の外野手の動きはいまだに良く、肩も強いと認めた上で「しかし、他者の視点から見れば、簡単な決断だろう。彼は日本でのシリーズ終わりに引退を発表し、シアトルに戻り、別れを告げるのだ」と指摘。つまり、普通の選手であれば、日本開幕戦を終えてユニホームを脱ぐという決断を下すことが、最も自然だという見方だ。

 ただ、この特集の主役はイチローだ。普通の選手ではない。偉大なキャリアを持つ“レジェンド”は、ローゼンタール記者が記している通り「ノーマルであれば、イチローとはなり得ない」。オフに主力を大量放出し、再建モードに入ったマリナーズがイチローを残すという選択を取る可能性もあるという。

 記事では「彼は同僚に人気がある。そして存在感もある。ディポトは彼はクラブハウス内で『ダライ・ラマ』のような存在だと称していた」と紹介。イチローが果たしている役割は大きいだけに、球団の判断にも注目が集まる。さらに、ディポトGMはイチローが東京の2試合で7安打したら、3試合目も出場する可能性は大いにあると語っていたことも回顧。もし東京で大活躍を見せても、それが“花道“になることはないのではないかとローゼンタール記者は予想している。

「もしイチローが普通の選手ならば、彼はこのようなパフォーマンスを完璧なエンディングとして捉えるだろう。しかしイチローはイチローだ。彼は新たなスタートと考えるだろう」

 最低でも50歳まで現役、を公言してきたイチロー。特集では最後に、背番号51を“師”と仰ぐマーリンズ時代からの同僚、ディー・ゴードンがESPNで明かしていた「もし彼がプレーを続けなければ、死んでしまうと思う。もし野球をしないなら、イチローは何をするんだ?」というコメントも紹介している。“日本開幕戦後”に米国でも注目が集まっている。(Full-Count編集部)

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