初のイノシシ焼却費計上、捕獲数約3倍に 葉山町予算案

葉山町役場

 神奈川県葉山町は捕獲したイノシシを焼却処分する費用を、2019年度一般会計当初予算に初めて計上した。町周辺での捕獲数が18年、前年の3倍近くに急増。従来の埋め立てを優先しつつ、今後の増加も見据え、別の処分方法の予算を確保した。

 町環境課によると、18年に葉山、逗子、横須賀の3市町にまたがる二子山山系で捕獲されたイノシシは83頭で、前年(29頭)から3倍近くまで跳ね上がった。町内では13年ごろから目撃情報が寄せられており、同課は「里山に人の手が入らなくなり、三浦半島の温暖な気候と相まって、繁殖しやすい環境になっている」などと分析。100キロ超の個体も目撃されている。

 農業被害も増えている。町によると、イノシシは町内の幹線道路に囲まれた上山口や木古庭の北部などに生息し、隣接する田畑や人家の庭に侵入し、畑の野菜、芋類などを掘り起こして食べる。県の調査によると、町内での17年度の被害額は62万円で前年度の倍になった。

 被害を防ぐため、町内では、わな猟の免許を持つ町民有志らでつくる「町鳥獣被害対策実施隊」が山間部など300カ所にくくりわななどを設置。捕獲したイノシシは殺処分した上で解体し、町内の民有地に埋めている。だが、捕獲数が急増したことで、町は「埋め立て処分だけでは賄いきれなくなる恐れがある」と判断。19年度一般会計当初予算案に焼却処分業務委託費として約55万円を計上し、可決された。近隣自治体にある施設での処分を検討している。

 また委託費と合わせ、注意喚起のための看板設置と、畑にイノシシを寄せ付けないための薬剤購入などのための予算も確保した。

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