「J2席巻中のFC琉球!開幕4連勝の攻撃サッカーに迫る」

今季J2に昇格したFC琉球が怒涛の勢いを見せている。

3月16日に行われたJ2第4節・徳島ヴォルティス戦を2-1で制し、開幕からの連勝を4に伸ばした。これで首位に立ち、J2の舞台を席巻中だが、結果だけでなくその内容も素晴らしい。

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カテゴリーが変わっても攻撃サッカーを貫き、ここまでに叩き出した11得点はリーグトップ。臆することなく堂々と戦う姿にはロマンがある。

今回の当コラムでは、勢いに乗る琉球を昨季に続きピックアップ。チームの基本コンセプトや新戦力の躍動、今後のシナリオについて述べていきたい。

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■新監督が施したマイナーチェンジ

今季より指揮を執る樋口靖洋監督は、4-2-3-1を基本システムに採用。昨季の4-1-4-1からダブルボランチ+トップ下という形へマイナーチェンジを施した。

守護神は日本で3クラブ目となるカルバハル。最終ラインは西岡大志、増谷幸祐、徳元悠平という不動のラインナップが今季も健在。瀧澤修平が水戸ホーリーホックに去った穴は、新加入の岡﨑亮平が埋めている。

ダブルボランチはどちらも新加入の上里一将と風間宏希で、2列目には右から田中恵太、富所悠、上門知樹が入る(トップ下の主力だった中川風希は、3月16日に横浜F・マリノスへの移籍がアナウンスされた)。1トップは町田ゼルビアから加入した鈴木孝司が務める。

■変わらないコンセプトと躍動する新戦力たち

琉球をJ3優勝&J2昇格に導いた金鍾成氏が鹿児島ユナイテッドの新監督に就任し、横浜F・マリノスやY.S.C.C.横浜などを率いた樋口監督を迎えた今シーズン。前述の通り布陣変更があったものの、最終ラインから丁寧なビルドアップでボールをつなぎ、常に複数人が連動するパスサッカーは不変だ。

そのパスサッカーに加えて、「前線からのプレッシング」も戦術的特徴である。そして、そのプレスに欠かせないのが、町田から獲得した鈴木だ。

町田と言えば、縦横ともにコンパクトな陣形を保ち、前線からのプレスと鋭いカウンターが武器のチーム。鈴木は2トップの一角でレギュラーとしてプレーし、得点はもちろん、積極的な守備でも大きく貢献していた。新天地でもその姿勢は変わらず、“町田仕込み”のプレスで戦術のカギを握っている。

また、2トップの一角でサイドに流れてのチャンスメイクなど得点以外の役割もこなしていた町田とは異なり、琉球ではフィニッシュにより専念できる環境が整った。開幕からの4試合で決めたゴールは5で、早くも昨季の得点数に並んでいる。このペースを維持できれば、最低でも20ゴールを期待して良さそうだ。

鈴木とともに新加入組で躍動しているのが、新キャプテンに就任した地元出身の上里だ。

中盤の底でバランスを取り、ベテランらしい味のあるプレーを見せている一方、意表を突くロングシュートやプレースキックでも存在感を発揮。

左足の破壊力は国内でも屈指なだけに、ロングレンジのパスで局面をガラッと変える姿も数多く見てみたい。上里の左足はパスサッカーを進化させる可能性を秘めている。

■快進撃を持続させるには…

4試合を終え、4連勝で首位に立つ琉球。この勢いを終盤まで持続できるかが、今季のテーマとなるだろう。

勢いを持続するには、指揮官の采配とラッキーボーイの出現が不可欠。長いシーズンでは、必ず勝てない時期や上手くいかない時期がやってくる。その際にシステム変更やメンバーの入れ替えで流れを変えることができれば、大きく沈むことはない。

例えば、昨季のJ2で2位と躍進し、J1昇格を果たした大分トリニータも、昨季は勝てない時期を経験した。そのピンチで片野坂知宏監督は、3-5-2の新機軸を導入。また、出場機会に恵まれなかった選手たちを次々に抜擢し、悪い流れを断ち切った。そして最終的には2位でフィニッシュし、J1への切符を掴んだのだった。

現スカッドを見ると、3試合連続ゴールの上門がブレイクの予感を漂わせ、早くもラッキーボーイ的な活躍を見せている。

疲労の蓄積があるシーズン中盤から終盤にかけてはこうした好調な選手が起爆剤となるだけに、今後も台頭を期待したい。特に昨季7ゴールを奪った和田凌は鈴木の活躍もあり、まだ出番がない。この悔しさを力に変え、爆発する姿に大いに期待したい。

2019/3/17 written by ロッシ

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