『ブラック・クランズマン』 仰天実話をトリッキーに仕立て上げたクライムエンタメ

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 この映画、タイトルからしてとっても面白いのですが原題ではこんな風に書いています。「BlacKkKlansman」って書くんですけれどね、めっちゃくちゃオシャレなんです。何がオシャレかっていうと、まず黒人の「black」、そこにKKKのメンバーであることを指す「klansman」が入っているんです。そして真ん中には、KKKが見えます。完全に造語のタイトルなんですが、とってもオシャレでクールですよね。

 こんなスタイリッシュなことを思いついちゃうのが巨匠スパイク・リー。『マルコムX』など、いつも自身のルーツである黒人社会に寄り添いながら、黒人としての誇りを持ち続けて撮ってきたスパイクが選んだ新作のテーマはクー・クラックス・クラン、略して「KKK」。2017年、シャーロッツビルという場所で、KKKを始めとする白人至上主義者たちの大きな集会が行われ、抗議する人たちと衝突して一人が亡くなるというとても悲しい出来事がありました。「白人以外は、このアメリカから出て行け!」と声高に叫ぶ男たちは、黒人の方々にとっては脅威そのもの。

 本作の主人公は、差別意識もすごかった時代に、黒人にもかかわらずKKKに潜入捜査をするというかなりぶっとんだ挑戦をした黒人警官。こんなすっごい話をさらにものすごいスパイク風に味付けしちゃっているのです。この映画、普通の映画を観に行く感覚で行ったらびっくりするはず。スパイクならではのトリッキーでスタイリッシュな本作をぜひ体感してみて欲しいです! ★★★★☆(森田真帆)

監督:スパイク・リー

出演:ジョン・デヴィッド・ワシントン、アダム・ドライバー

3月22日(金)から全国公開

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