24日から佐世保市内路線バス一体運行 競合解消、効率化図る

 佐世保市内の路線バスは24日から運行体制を一体化する。これまでは市交通局(市営バス)と西肥自動車(西肥バス)が競合していたが、西肥バスに集約する。経営のスリム化や運行の効率化を図り、地域公共交通網を維持する狙い。経緯や変更点をまとめた。

◆経緯 
 市交通局は3月末で廃止する。交通局の子会社、させぼバスは一部の路線を受託運行する。運行本数は2015年4月と比べ、競合する区間は平均約27.5%、競合しない区間は平均約17.6%削減。通勤通学の時間帯はできるだけ維持し、昼間は等間隔で運行するよう調整する。
 競合に伴う経営環境の悪化は長年の懸案だった。交通事業者や有識者らでつくる市地域公共交通活性化協議会での議論などを踏まえ、市は「利便性を維持し、持続可能なバス事業の実現」を検討していた。
 採算性や効率性を考慮しながら、運行体制の一体化を協議。西肥バスだけで運行する案もあったが、市民から「民間だけでは不安」といった声が上がり、させぼバスが一部運行する形で市が関与する方針を決定。公務員の人件費はかさむことなどから、交通局の廃止を決めた。

◆変更点 
 運賃に変更はない。車両デザインは、しばらく現行通り。市営バスの敬老パスや福祉パスもこれまで通り利用できる。
 定期券は両方のバスで利用できる共通券にする。交通局発行の定期券も期限まで利用できるが、車載の機材で認識できないため運転手の目視で確認する。
 これまで平日もあった1日乗車券は、土日祝日限定で発売。西海橋やハウステンボスの周辺など対象を拡大する。交通局の各種乗車券は、西肥バスの乗車券に統合してサービスを継続する。
 佐世保駅前では、乗り場を行き先ごとに整理する。現在は同じ行き先でもバス会社で異なっていた。例えば、「佐世保商業・大野方面行き」は2番に、「相浦桟橋(日野経由)行き」は6番に統一するなど、国道を挟んで変わる所もある。
 市地域公共交通再編実施計画に基づき、3月から3年間は本数や路線、体制を維持するよう努力することになっている。西肥バスは、19年度中に全国共通のICカード乗車券「nimoca(ニモカ)」を導入し、23年度末までに約6割の車両を低床バスとするなど利便性向上を図る。
 市も運転士不足を解消するため、養成費用の一部を補助するなど支援。交通網を維持するため関与する。

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