【標高2万m超え!?】地球とはスケール違いな”宇宙の山々”のセカイ 「山」と聞けば、麓には樹林が生い茂り、標高の高いところはガレ場が広がる…と、普通はそのような山を想像することでしょう。ですが、実は地球以外の天体にも山があり、地球の山とは全く違う姿をしているって知っていました?「宇宙の山」は、地球の山とは比べ物にならないくらいにスケール段違い!地球の山で物足りなくなったあなたに、好奇心掻き立てられる宇宙の山、紹介しちゃいます!

宇宙に浮かぶ星々にも山がいっぱい!

山好きの皆さん、宇宙に浮かぶ星々にも「山」があるって知っていました?

普段、空を見上げて星を眺めても、その星の山までは考えたことはあまりないのではないでしょうか。実は馴染みのある月にも山があるんです。さらに他の星には、世界で最も高いエベレストよりも桁違いに高い山まで!

ではこれから、遥か彼方にそびえるスケール違いの「宇宙の山」をみていきましょう。

標高2万m超え?!太陽系最高峰「オリンポス山」

(火星)

世界で最も高い山と言えば、標高8,848mのエベレスト。でもお隣の星「火星」に目を向けると、標高2万m超えの太陽系最高峰「オリンポス山」が君臨しています。

太陽系最高峰「オリンポス山」

(火星の大地)

地球からおよそ7000万km、錆びた鉄による赤い色をした地表面が特徴的な火星。探査機による写真を見ても分かるように、地球の山でいうところのガレ場のような環境が地平線の先までずっと続いています。


  • 標高: 21,230m
  • 所在地: 火星(北緯18.65度 東経226.2度)
  • 最高気温: 20℃
  • 最低気温: -140℃

そんな火星の一角には、なんとエベレストの2.4倍!!標高21,230mと、2万m超えの高さを誇るオリンポス山がそびえ立っているのです。

(オリンポス山とエベレストの高さの比較)
(火星)

裾野を含めた山の直径は550km以上にもなり、上の写真のように宇宙から見てもはっきりとその山容が確認できるほど!

(オリンポス山)

「あれ?火山っぽい形?」と思ったあなた、ご明察。実はオリンポス山は火山で、ご覧の通り山頂にカルデラの姿が確認できます。ちなみに、オリンポス山は死火山ではなく、将来も噴火する可能性があるとのこと。

(オリンポス山周辺を高度で色分けした画像)

カルデラは直径が60~80kmにもなり、深さは3,000m以上!富士山がすっぽりと収まるサイズです。恐るべし宇宙の火山、太陽系最高峰の名は伊達ではありません。

ところで、もし登るなら…

(オリンポス山)

オリンポス山の平均勾配は7.6%程度。富士山吉田ルートの平均勾配が26%程なので、それよりは緩やかですね。ただし、登頂まで300km弱もの超絶ロングルートとなりますが…。

また、火星は地球よりも大気が薄いため、オリンポス山の山頂はまるで宇宙空間と言えるほどの大気の薄さ。高山病対策必須です!

なぜこんなに山が大きいの?

火星は地球より小さい星です。なのに、火山の大きさは地球とは桁違い!でもどうしてでしょう?

それは、火星の重力が地球より小さいので、表面近くに流れる溶岩流が長い時間噴出できる上、非常に高い高度まで噴出されるからです。

また、火星では地球のようにプレートの移動が起こらないので、ホットスポット上に火山がずっと存在し続けることができ、そのため火山も巨大に成長しやすいという訳です。

※近年、ベスタとよばれる小惑星で「レアシルヴィアの中央丘」という高さ約22,000mもの山が発見されました。オリンポス山は約21,200mなのでそれより高いことになります。しかし、この山は「レアシルヴィア」というクレーターの構造の一部で、対するオリンポス山は天文学用語の「mons」という「惑星表面の山岳地形」に分類されるため、今回太陽系最高峰としてオリンポス山を取り上げています。

他にもこんなに!スケール違いのユニークな山々

火星には驚くほど高い火山がありましたが、太陽系全体へと目を向けてみると、実に様々な姿の「宇宙の山」がまだまだたくさんあるんです!

月で一番高い山、アペニン山脈「ホイヘンス山」

(アペニン山脈)

月で最も高い山は、「ホイヘンス山」とよばれる標高約5,500mの山。

月の表側の中央よりやや北に「雨の海」と呼ばれる広大な盆地となった地形があり、その雨の海の南東には全長600kmに渡って「アペニン山脈」とよばれる山脈が連なっています。ホイヘンス山はそんなアペニン山脈の最高峰。

このホイヘンス山、山の成り立ちはなんと隕石の衝突によって。宇宙は山のできかたもスケールが違いますね!

山は過酷な環境というけれど…過酷すぎでしょ!?金星「マクスウェル山」

(金星マクスウェル山)

地球のすぐ内側を周る金星。地表の気圧は地球の90倍、気温は500℃。

これだけでもすでに過酷さが伝わってきますが、さらには硫酸の雨が降ることもあり、さすがのゴアテックスでも防水できません!

山の過酷な環境に慣れたアルピニストでも泣いて逃げるほど過酷なこの金星には、標高約6,400m、頂上付近は硫化鉛などの金属の雪が積もっているとみられている最高峰「マクスウェル山」がそびえ立っています。

宇宙空間まで火山が噴火?!@木星の衛星イオ

(イオ)

火星にも火山がありましたが、太陽系で火山といったらこの星は外せません!木星の衛星「イオ」です。

噴出物を高度200km以上もの高さ(宇宙空間)まで吹き上げている火山があることが探査機によって観測されています。

さらに、イオには直径25km以上のカルデラを持つ巨大な火山がなんと100個以上もあり、まさに星全土が火山帯ともいえるほど!

氷の火山が大噴火?!@海王星の衛星トリトン

(トリトン)

地表はマイナス235℃の極寒の世界ですが、イオの次に活火山が見つかったことで知られる、海王星の衛星トリトン。

トリトンの火山はイオの火山とは一味違っており、液体窒素と液体メタンの溶岩を噴出しています。

トリトンに最も近づいた探査機ボイジャー2号によって噴煙も観測されており、噴出物の温度が氷点を遥かに下回るため「氷の火山」とも言われています。

裏銀座縦走26回分!@土星の衛星イアペトゥス

(イアペトゥスの尾根)

土星から350万kmほど離れたところを周る衛星イアペトゥスは、赤道上に高さ13,000m、幅20km、そして長さがなんと1,300kmにも渡る長大な尾根があることで知られています。

総歩行距離50kmの裏銀座縦走、実に26回分がひとつに!もう嫌というほど縦走できますね。

また、標高が高く樹林も無いため見晴らしも良さそうで、スケールの違う稜線歩きが楽しめるかも?!

いつか登れる日が来るかも?宇宙の山へ想いを馳せてみよう

(42777839 北アルプスと天の川)

今回紹介した山のように、宇宙には地球で見られないようなスケール違いの山がたくさん!まだ誰も登ることができないものの、いつか人類が登れる日は来るかもしれませんね。宇宙にはたくさんの惑星があるので、まだ見ぬ山もたくさんあることでしょう。地球に似た星なら、美しい景色を湛えた山もあるかもしれません。山に登りながら、まだ見ぬ異星の山に想いを馳せてみるのも中々楽しいものですよ!

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