【MLB】「日本はどうだい?」―イチローの粋な計らいに相手選手が感激「嬉しかった」

開幕戦で四球を選び出塁したマリナーズ・イチロー【写真:Getty Images】

昨季29本塁打のオルソンも敬意「特別な試合の一員になれたことは最高」

 マリナーズのイチロー外野手は20日、東京ドームで行われた「2019 MGM MLB日本開幕戦」のアスレチックス戦に「9番・右翼」で出場し、1打数無安打1四球に終わった。4回にはいったん守備に就いてから、大歓声の中で途中交代。4回無死一塁の場面で9球粘り、四球で出塁した背番号51は塁上で粋な計らいを見せ、対戦相手を感激させていた。

「東京ドームの雰囲気はすごかった。もっとマリナーズ寄りになると覚悟していたけれど、ファンは両チームを応援してくれた。みんなすごく野球を知っている。いいプレーには拍手してくれた。完全なビジターではなかった。ファンのイチローへの拍手と盛り上がりもまたクールだったよ。特別な試合の一員になれたこともまた最高だったね」

 東京でのメジャー開幕戦をこう振り返ったのは昨季29本塁打を記録したアスレチックスのマット・オルソン内野手。チームは7-9で敗れ、オルソン自身も3打数無安打に終わったが、イチローのプレーのみならず、両軍の好プレーに惜しみない拍手を送る、日本の野球ファンが作り出した空気をすっかり気に入った様子だった。

 4回、一度守備に就いてから途中交代となった場面で、イチローはチームメートと抱擁を交わした。アスレチックスの選手も脱帽し、イチローに敬意を表していた。

塁上で交わした会話「イチローがわざわざ話しかけてくれたんだ」

「誰もがイチローをリスペクトしている。ここまで長い間活躍した人はいない。所属チームは関係ない。誰もが素晴らしい野球選手をリスペクトしなければいけない。対戦相手だからって関係ないんだ。あそこまでの人の母国での開幕戦で戦えたことは自分にとっても名誉なんだ」

 アスレチックスの選手の間でも溢れ出る“イチロー愛”を明かしたオルソン。こんな秘話を披露してくれた。

 「塁上でも話したよ。イチローがわざわざ話しかけてくれたんだ。『日本はどうだい?』ってね。『日本を愛している』って応えたんだ。とにかく、自分としては『おめでとうございます』と伝えたかった。『この試合で対戦できたことが光栄だ』とね」

 4回、四球で出塁したイチローから声をかけられた24歳のスラッガーは感激していた。

「すぐに二塁に行ってしまったのが、残念だったけれど、それでも声をかけてもらえたのは嬉しかったよ」

 続くゴードンの初球犠打で二塁に快足を飛ばしたイチロー。レジェンドとの交流はあっと言う間だったが、オルソンにとっても忘れがたい思い出となった様子だ。イチロー自身も試合後に「特別な開幕ですね」と振り返った一戦。相手選手にとってもスペシャルな経験となっているようだ。(Full-Count編集部)

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