町民の火葬有料化「ノー」 神奈川・愛川町議会が否決「負担増」

火葬炉使用料の町民負担を巡って議論となった愛川町の町営斎場「愛川聖苑」=愛川町棚沢

 神奈川県愛川町議会は22日、本会議を開き、町営斎場「愛川聖苑」(棚沢)の火葬炉使用料を町民も有料にする条例改正案を反対多数で否決した。条例議案が否決されたのは1955年から続く町政史上初めて。高齢化の進展で火葬炉使用の需要増が見込まれる中、持続的な行政サービスの提供に向け必要な使用料を得たい町側に対し、町民の経済的な負担増を疑問視する議会側が待ったをかけた。

 町側が提出していたのは町営斎場条例の一部改正案で火葬炉使用料を町民も含め全面有料化を図る内容。従来から町外在住者に設定している使用料の10分の1相当を町民にも負担してもらう計画で、12歳以上が1体8千円(町外在住者8万円)、12歳未満が1体5千円(同5万円)としていた。議案が可決されれば、7月から導入予定だった。

 町では、火葬炉の使用が今後増えていくことを見越し、施設の維持管理や受益者負担の観点から、火葬にかかる燃料代や電気代など必要最小限の使用料を求めたい考えだった。周辺自治体でも厚木市(市民で12歳以上、1万円)や相模原市(同、6千円)が有料であることも考慮した。

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