リールメンテナンスのプロが伝授!リールの分解整備と注意点 釣り人ならば「リールを分解してみたい」と思ったことがある方も多いのではないでしょうか。しかし、リールの分解にはリスクも伴います。今回は、リールメンテのプロが「どこまで分解してもいいのか」を解説します。

リールを分解したい!

釣りに心奪われる方なら、1度は思ったことがあるのではないでしょうか。

「自分の手にかかれば、さらに性能がよくなるのでは!?」という気持ちが、ネジを回そうとする気持ちに拍車をかけますよね。

これはメカ好きの男子ならば、当然の心理なのかもしれません。

しかし、リスクが……

リールの内部はいわば「パンドラの箱」です。

何の知識も持たずに分解すると、後戻りできず、バラバラになった金属を前にして途方にくれることに……。

そこで今回は、スピニングリールの“どこまで分解してもいいのか、悪いのか”を、リールマニアが解説します。

“年間100台以上”を分解したリールマニア

佐藤稜真

某リールチューンメーカー在籍時、Facebook・Instagram運営を手がけながら全国のイベントで年間100台以上のリールをメンテナンスしていた経験を持つ。

中学生の頃からカタログのスペックを暗記するほどのリール好き。関東のフィールドでのエリアトラウト・シーバスフィッシングをメインにしている。

ハンドルノブ

ドライバーで分解

マイナスドライバーまたはプラスドライバーを使って、ノブ本体やその中のベアリングを取り外します。

シャフトから抜き取るだけなのでとても簡単ですよ。

パーツの洗浄&オイルを補充

分解が終わったら、ハンドルのシャフト(ノブが付いていた棒の部分)とノブ内部、ベアリングをパーツクリーナーで洗浄しましょう。

洗浄後は新しいオイルを挿して、元の順番通りに組み立ててください。

注意点

ハンドルノブのネジが露出しているリールもありますが、ノブキャップで隠れていることもあります。

キャップを外すハリガネのような工具が付属していることが多いので、リールを買った際の付属品をチェックしてみましょう。

ドラグ

バネを外して分解

まずはドラグノブを回して、リール本体からスプールを取り外しましょう。

スプールを取り出したら、見えているハリガネのようなバネを外してください。そうすると、内部パーツを取り出すことができます。

パーツの洗浄&ドラググリスを補充

ハンドルノブと同じく、取り外したパーツ類をパーツクリーナーで洗浄しましょう。

洗浄が終われば、ワッシャーにドラググリスを塗ります。間違っても、オイルを塗ってはいけませんよ。ドラググリスを用意してくださいね。

注意点

ドラグの分解・組み立ての際は、バネの取り扱いに要注意。慎重に扱わなければ、ビヨーンとバネが吹っ飛びます。(バネの力がかなり強い)

また、順番通りに組まないとドラグが正常に機能しないため、外した後はバラバラにせず順番通り並べておきましょう。

ラインローラー

マイナスドライバーで分解

ラインローラーはマイナスネジが露出しており、そのネジをマイナスドライバーで外します。

雑にするとラインローラーが一気に抜け落ちるため、下側からベールの付け根を支えながら分解しましょう。

メンテ

ハンドルノブやドラグと同じく、取り出したベアリングやシムをパーツクリーナーで洗浄し、新しいオイルを注油します。

オイルは、ハンドルノブに用いたものと同じでOKです。

注意点

機種によってはパーツ点数が多いので、紛失や組み込み順を間違えないように注意してください。

また、ネジが固すぎる場合は、無理に回そうとするとネジが切れてしまうので、そんな時は無理をせずにメーカーへ預けましょう。

ここから先はメーカーに任せましょう!

釣り人が分解してもいいのは、ここまで! ここから先の、ローターの取り外しやボディの分解は、絶対におすすめしません。

ネジの締め具合やパーツの組付け精度によって、回転の質感やバランスが大きく変わってくるため、専門のプロに任せたいところです。

メンテは必要!でも、やりすぎは禁物!

現在のリールはパーツの精度や防水機能の進化が著しく、使用後の水洗いと最低限のメンテナンスさえしていれば、長く快適に使うことができます。

必要以上のメンテナンスをしては、「改悪」になることが大半。

日ごろ最低限のメンテを欠かさず、年に1回メーカーに預けてオーバーホールを受ければ、リールが快調を保ってくれるはずです。

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