津久井が生んだ近代出版の魁・三樹一平 地元で企画展

出身地の津久井地域で開催中の「三樹一平展」=相模原市緑区中野の津久井中央公民館

 旧津久井町に当たる相模原市緑区三ケ木出身で、国語教育の専門出版社である明治書院設立者の三樹一平を紹介する企画展が、市立津久井中央公民館(同区中野)で開かれている。「郷土の偉人展実行委員会」の主催で、31日まで。無料。

 三樹は、江戸末期の1859(安政6)年に旧三ケ木村に生まれ、96年に東京・神田で明治書院を設立した。「近代出版の魁(さきがけ) 三樹一平展」と題された企画展は、郷土史家の涌田佑さん(90)=同市南区相武台=がまとめた100枚近いパネルで構成されている。

 自作のパネルでは、三樹の年譜をはじめ、明治書院出版物の執筆者だった落合直文、編集長に迎えた与謝野鉄幹と晶子夫妻、森鴎外ら著名な文学者も紹介。同じ津久井出身で、三樹の遠縁に当たる政治家尾崎行雄(咢堂)など、近郷の縁戚関係も解説している。

 「三樹一平展」は昨年12月から1月にかけて、同市南区の市立相武台公民館で開かれた。その後、「三樹の出身地でも開催を」の声が上がり、津久井中央公民館でも実施することになったという。

 会場には、展示用に関係書籍を提供するなどした奈良雅之さん(81)=同区長竹=や、三樹の遠縁で書籍展示に協力した梶野眞知子さん(66)=同区橋本=らの姿も。2人は「地元で開催できてよかった」などと喜んでいた。

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