2019年の新スターは誰だ キラリと光った12球団若手有望株は?

ヤクルト・塩見泰隆(左)と広島・小園海斗【写真:荒川祐史】

オープン戦、各球団期待の若手はどうだった?

 プロ野球のオープン戦は24日に全日程終了。オープン戦では主力選手は個人成績を度外視して調整、若手選手は開幕1軍へのアピールの場となる。チームにとっては戦力の見極め、新戦術のお試しの場として活用している。

 そのため、各球団売り出し中の若手有望株がシーズンで戦力として機能するのかを試されるため多くの出場機会を得る。今回はそんな若手の中で特にいい成績を残した主な選手をピックアップし、成績を紹介する。

(カッコ内は球団名 成績は左から試合、安打、本塁打、打点、打率、出塁率、長打率、OPS)

○小園海斗内野手(広島)
15試合6安打2本塁打3打点 .231 .231 .500 OPS.731

 甲子園を沸かせた期待のドラ1ルーキーはここまでオープン戦で15試合に出場、2本塁打を放ち大器の予感を感じさせる。特に先日のヤクルト戦では自身の本塁打を皮切りに3者連続本塁打となるなど話題となった。正遊撃手・田中広輔の牙城を崩すのは難しいが、しっかり経験を積んでほしい。

○塩見泰隆外野手(ヤクルト)
17試合20安打2本塁打7打点 .385 .429 .596 OPS1.025

 ルーキーイヤーだった昨季は1軍で16試合、打率.040と苦しんだが、ファームでは打率.329と高打率を残し片鱗をみせていた。オープン戦では打率.385、OPS1.025と好調で、試合で12球団断トツトップの12盗塁を決めた。やや四球が少ないのが不安だが、層の厚い外野陣の中に割って入れるか。

○村上宗隆内野手(ヤクルト)
14試合12安打4本塁打12打点 .245 .315 .551 OPS.866

 17年のドラフト1位内野手は、昨季は主にファームでプレー。17本塁打を放つなどの活躍を見せ、シーズン終盤には1軍に昇格、初本塁打も放った。オープン戦では打率こそ.245だが、3位タイの4本塁打、OPS.866は立派な数字。開幕スタメンに向け強烈な印象を残した。

熾烈な捕手争いの大城は絶好調、DeNA・楠本は首位打者でリードオフマンに名乗り

○大城卓三捕手(巨人)
11試合9安打1本塁打4打点 .409 .409 .591 OPS1.000

 FAで炭谷が加入し熾烈な正捕手争いが起こっている巨人。昨季2番手捕手として83試合に出場した大城はオープン戦で4割を超える打率を残し、得意の打撃でアピールに成功した。守備面の評価を上げればシーズン中の正捕手奪取も期待される。

○楠本泰史外野手(DeNA)
17試合19安打2本塁打7打点 .388 .434 .612 OPS1.046

 1年目の昨季は開幕1軍をつかみ、56試合に出場。打率.205と結果は出なかったが、ファームでは打率.323と打ちまくった。オープン戦では打撃好調で12球団トップの打率.388を記録、初の開幕スタメンを引き寄せた。DeNAの新たなリードオフマン候補だ。

○木浪聖也内野手(阪神)
17試合22安打0本塁打9打点 .373 .403 .492 OPS.895

 昨年のドラフトで3位指名を受けた虎の若手内野手がオープン戦で12球団3位の打率.373を残し、北條とのポジション争いを制して1番遊撃での開幕スタメンを手中に収めた。複数ポジションを守れるユーティリティ性も強みで、オープン戦で11位と不振だった阪神の希望となっている。

○近本光司外野手(阪神)
17試合17安打0本塁打1打点 .262 .284 .277 OPS.561

 即戦力としての期待が高いドラ1ルーキーはオープン戦で打率.262、6盗塁と走力をアピール。一方で打率の割に出塁率が低く、長打力も今一つのため、そこがどうでるか。とはいえベテランの多い阪神外野陣のなかで期待は高く、1年目にして2番中堅で開幕スタメンの座を奪取した。

○横尾俊建内野手(日本ハム)
13試合13安打3本塁打7打点 .371 .436 .686 OPS1.122

 レギュラー奪取を期待された昨季は9本塁打も打率.207と期待を裏切った。オープン戦では絶好調で打率.371、3本塁打を残しレギュラー不在の二塁手、もしくはレアードの抜けた三塁手のポジション争いに名乗りを上げた。

主力多数退団のオリでは多くの若手が躍動

○福田周平内野手(オリックス)
16試合16安打0本塁打5打点 .296 .387 .481 OPS.869

 2年目を迎えた好打の内野手は、即戦力としての期待に応えた昨季から好調を維持。オープン戦では特に出塁率で.387と高い数字を残し、1番打者としての仕事を全う。主力が多く退団したオリックスの中で気を吐いた。わずか16試合で4本の三塁打を放つなど、俊足でも貢献する。

○頓宮裕真内野手(オリックス)
17試合15安打2本塁打8打点 .259 .306 .397 OPS.703

 昨年のドラフトで2位指名を受けたルーキーは、早くもオープン戦で三塁手の定位置を確保。ここまで2本塁打と高い評価を受けていた長打力は本物だ。亜大時代には捕手を守り、プロ入団後に三塁手に転向したため守備は発展途上だが、強肩を備えており素質は十分。

○辰己涼介外野手(楽天)
14試合10安打1本塁打4打点 .303 .378 .455 OPS.833

 即戦力の呼び声高いドラ1ルーキーは、オープン戦で3割を超える打率もマークし、早くも実力の片りんを見せている。前評判の高かった打撃だけでなく守備、俊足でもハイレベルなプレーを魅せており、レギュラーに向けアピールを続けた。

 (以下、投手。カッコ内は球団名 成績は左から試合、投球回、勝利、負け、セーブ、奪三振、防御率)

○床田寛樹投手(広島)
4試合17回 1勝1敗0セーブ 19奪三振 防御率1.59

 トミー・ジョン手術からの復活を期す左腕は、オープン戦で防御率1.59、奪三振率は10を超えるなど結果を残した。被打率、WHIPは決して良い数字ではないため、シーズンも同等の成績を残せるかは不透明だが、数少ない先発左腕として貢献したいところ。

ルーキー・上茶谷は開幕ローテ濃厚、中日・笠原は開幕投手

○大江竜聖投手(巨人)
5試合5回 0勝0敗2セーブ 5奪三振 防御率0.00

 3年目を迎える若手左腕は、オープン戦で被安打わずか2、無失点と安定感溢れるピッチングで2セーブ。マシソンが離脱し、守護神候補筆頭の新外国人クックが防御率6.00と苦しむ中、まずは1軍定着したいところ。

○大下佑馬投手(ヤクルト)
6試合9回1/3 0勝1敗0セーブ 6奪三振 防御率0.96

 昨季後半戦から昇格しブルペンを支えた勢いそのまま、オープン戦でも安定感抜群の投球を続けている。特に被打率は.129と驚異的な数字を残した。シーズン中も中継ぎの屋台骨としてブルペンを支えたい。

○上茶谷大河投手(DeNA)
2試合10回 1勝1敗0セーブ 7奪三振 防御率3.60

 即戦力の期待高いドラ1右腕は防御率3.60と平凡ながら被打率.171、WHIP0.70と良化の予感を残している。特に与四球はここまでわずか1つと、制球に優れている。1年目から開幕ローテーション、2桁勝利も狙える。

○笠原祥太郎投手(中日)
5試合20回2/3 2勝0敗0セーブ 14奪三振 防御率2.61

 昨季プロ初完封、6勝をマークした若手左腕は、オープン戦で防御率2.61と好調。3年目にして開幕投手の大役をつかみ取った。被安打が11、被打率.159という安定感のある成績をシーズンでも継続したいところだ。

○鈴木博志投手(中日)
9試合9回 0勝0敗5セーブ 9奪三振 防御率0.00

 ルーキーイヤーの昨季からチーム最多の53試合に登板、一時は抑えも任されたが防御率は4.41と安定感を欠いた。オープン戦では守護神として12球団トップの5セーブ、防御率は0.00と圧巻の投球だ。守護神としてシーズンも打者を圧倒したい。

鷹ドラ7奥村は掘り出し物になるか?

○今井達也投手(西武)
3試合17回 1勝1敗0セーブ 16奪三振 防御率2.12

 3年目を迎えたかつての甲子園優勝投手は、ここまで防御率2.12と好成績を残す。課題だった制球力も17回で5四球と改善し、成長をみせた。開幕ローテーションの一角に内定した19年シーズンは、一気に飛躍をみせる可能性もある。

○奥村政稔投手(ソフトバンク)
7試合8回 1勝0敗0セーブ 5奪三振 防御率1.13

 昨年ドラフト7位で入団したルーキーは最大の武器であるストレートを使い、ここまで防御率1.13。下位指名ながら思わぬと掘り出し物になりそうな予感だ。故障者の多いソフトバンク投手陣を救う活躍をみせたい。

○種市篤暉投手(ロッテ)
4試合6回 2勝0敗0セーブ 6奪三振 防御率3.00

 3年目を迎える今季は、オープン戦で好投。昨シーズン7試合に先発しながら白星を挙げられなかった悔しさを胸に、成長をみせている。念願のプロ初勝利に向けシーズン中も好投を続けたい。

 今春のオープン戦はレギュラー争いを目指す若手の躍動が目立った。2020年東京五輪も控える中、次世代へ1人でも多くの新スター誕生を期待したい。(Full-Count編集部)

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