26日に日本代表と対戦するボリビア代表。
最新のFIFAランキングでは60位となっているが、彼らはどんな国なのだろうか。
昔は強かった
第一回大会を含むワールドカップに3度出場しており、コパ・アメリカでも優勝と準優勝の経験を1度ずつ持つボリビア。しかし近年は“南米最弱”と言わざるを得ないのが現実であろう。
かつてはこの称号は野球大国ベネズエラに与えられていたが、彼らは先日アルゼンチン代表を撃破したようにこの20年で急速に成長しており、また、低迷していたペルーも復活を遂げている。
一方のボリビアは近年、代表・クラブとも国際試合でほとんど結果を残せておらず、欧州で成功する選手も皆無。代表はこの1年半でミャンマーにしか勝利していない。
それでもライバルはコパ・アメリカを連覇している隣国のチリ。19世紀の後半に勃発した「太平洋戦争」に敗れ、“海”を奪われたことは現在でも深い傷となっている。
日本との所縁は?
日本代表とボリビア代表は過去に2度対戦し、日本の1勝1分(3得点1失点)。
初めて対戦したのがちょうど20年前に開催されたコパ・アメリカのグループステージで、この時は1-1の引き分け。その1年後に横浜で親善試合を行い、この時は柳沢敦の2ゴールで日本が2-0と快勝している。
人的な交流では、1994年ワールドカップでボリビア代表を率いたスペイン人ハビエル・アスカルゴルタが1997~1998年に横浜マリノスを指揮し、当時、代表で主力であったフリオ・セサル・バルディビエソを呼び寄せている。
また、ヴェルディ黄金期にプレーした石川康がボリビア生まれであるほか、2013年、当時現役の代表だったエジバルド・ロハスが湘南ベルマーレに在籍している。
“世界最高”のホームを持つ
ボリビア代表が母国で試合を開催する際は、海抜約3,600mに位置する事実上の首都ラパスにあるエルナンド・シーレススタジアムで行われる。
高地は酸素が薄く、ボールがよく飛ぶ。先日、ラパスより高い4,000メートルを拠点とする同国のナシオナル・ポトシが54本のシュートを放ちながらカウンター一発で敗れたことは世界的にも話題となった。
また、高山病という言葉があるように高地は慣れない選手にとっては非常に困難な場所であり、南米予選ではブラジル代表やアルゼンチン代表さえしばしば餌食となっている。
ただそんなボリビアも“下界”に降りてくると「ただの人」。2015年コパ・アメリカにおけるエクアドル戦での勝利は、“高地以外で南米勢に勝利する”実に62年ぶりの出来事であった。
大統領はサッカー狂
ボリビア史上初の先住民の大統領で、2006年以来、長期政権を築いているエボ・モラレス大統領。
同大統領はキューバやベネズエラと同じ社会主義を標榜しているが、現在、ベネズエラが混迷を極めているだけにその余波が心配されるところである。
そんな彼は大のサッカー好きで知られ、今月上旬に行われたニカラグア代表との一戦にも観戦に訪れているが、実際に選手としてもプレーしている。
2007年、国際サッカー連盟(FIFA )が標高2,500メートル以上の高地で国際試合を禁止すると発表した際には、海抜6,000メートルのサハマ山で親善試合を開催しこれに猛抗議(後にFIFAは撤回)。
さらに2014年には1部リーグ所属のサッカークラブと契約を結び、大統領にしてプロサッカー選手となっている。
注目の選手は?
ボリビアは今年になってエドゥアルド・ビジェガス監督が就任したばかり。今夏のコパ・アメリカ、その後始まる南米予選に向け、新たにチームを作り上げている段階にある。
そのため、長年代表の主将を務めたロナルド・ラルデス、コリンチャンスに所属した経験もあるドリブラーのフアン・カルロス・アルセらベテランが離れ、エースのマルセロ・マルティンス・モレノも移籍直後とあって外れており、実績のない選手が多い。
そんなチームを引っ張ることになるのは、メキシコのプエブラでプレーする小さなダイナモのアレハンドロ・チュマセロ、大型GKのカルロス・ランペ、マルビンとディエゴの二人のベハラノ(兄弟ではない)といった選手になるだろう。
あまり結果は残せていないが、かつてアーセナルが保有したサムエル・ガリンドにも注目したいところだ。