【ラジオな人】ミス・ユニバースにも挑戦!「とにかく人を楽しませたい」茨城放送・菊地真衣アナの流儀

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以前、ラジコからSNSで「地元のおすすめラジオ番組を教えてください」とみなさまにお伺いしたところ、非常にたくさんの番組が寄せられました。

今回はその中でも、推薦が多かった番組のひとつ、IBS茨城放送『菊地真衣のこんなんで、いいのかYO!?』(火曜 20時〜21時)のパーソナリティ・菊地真衣アナウンサーに突撃インタビュー!

番組の聞きどころや、菊地さん自身について伺いました。

自分の殻を破る番組に

リスナー参加型のコーナーが多く、全国各地からメールが届きます。コーナーの内容は菊地アナが自分で考え、メールの選定も菊地アナが担当。ステッカー、タオルなどのデザインや、ラジコの再生画面に表示されるイラストも、自分で描いています。

――番組がスタートして丸4年ですが、『こんなんで、いいのかYO!?』が始まったきっかけは?

菊地:放送開始の1ヵ月ぐらい前に「この時間で何か番組を考えて」って言われたんです。その時はまだ番組のアシスタントしかやったことがなくて、ひとりしゃべりをやったこともなくて、どんな内容にすればいいのか分からないから「内容がないYO!?」みたいにしようという話も出ました(笑)。でも、メールがくるかも分からないから、コーナーをたくさん考えたら今度は詰め込みすぎて「こんなのでいいのか!?」という話になって。それでいっそのこと、“いいのか”と“火曜”をかけて『菊地真衣のこんなんで、いいのかYO!?』に決まりました。

――初回から今のような雰囲気でいこうとしてましたか?

菊地:アシスタントはパーソナリティを立てる役割なので、『こんなんでいいのかYO!?』が始まるまでは、リスナーの皆さんから「真衣ちゃんは清楚で大人しめだねぇ〜」と言われることがあったんです。そういうイメージが定着すると、あまり“幅”が出なくなってしまうし、「本当の自分はこんなんじゃない」というモヤモヤもあって、自分の殻を破る番組にするべく、思い切ることにしました。

――菊地さんは『こんなんで、いいのかYO!?』のほかに、たかとりじゅんさんとのワイド番組『HAPPYパンチ!』(月曜〜金曜 9時〜12時55分 ※菊地アナは金曜担当)、一人で喋るワイド番組『4Me』(土曜 9時〜13時)と『お誕生日おめでとう』(日曜 16時〜16時20分)の4つの番組を担当しています。それぞれ、雰囲気が異なる喋り方をしています。

菊地:最初の頃は「どれが素の菊地さんなのか分からなくて困惑する」とか「 どの番組の菊地さんを信じたらいいですか?」いうメッセージがたくさん届きました(笑)。

とにかく楽しんでもらいたい!

『こんなんで、いいのかYO!?』は、フリートークやネタ投稿のコーナーがメインです。1時間番組であれば、人生相談のコーナーを入れたり、世の中の出来事を振り返ったりして、真面目なコーナーも設けそうなところですが、この番組は基本的に全てが“バラエティー”です。

主なコーナーを紹介すると、雑学、豆知識、うんちくなどの身になるメールを紹介する『菊ヤギさん』。普通のメッセージを、まるで怪談話のような口調で紹介する『YO怪ばなし(ようかいばなし)』、番組ミキサーの素朴な声質をいかして、かわいく聞こえる単語を紹介し、テキトーにそれっぽく解説する『かわいい単語』のほか、食レポクイズ、YO喜利など、参加しやすいコーナーが並びます。

『YO怪ばなし』では、実際にスタジオを真っ暗にして怖そうに読みます

さらに、番組の企画で、ミス・ユニバースジャパンの茨城県大会に2016年、2017年と2年連続で出場。2017年には準グランプリを獲得しました。エントリーしたのは、ミス・ユニバースの茨城県大会を広めたいと、実行委員会が茨城放送に相談したことがきっかけでした。

ミス・ユニバース 茨城県大会での菊地アナ

菊地:誰のどの番組で紹介するか…という話になった時に、会議で『菊地の番組ならおもしろく取り上げられそう』という話になり「せっかくだから、私もエントリーして、直々にPRするっていうのはどうですか?」っていう提案をしたんです。大学生の頃、『アナウンサーになるなら登竜門のミスコンにでなければ』と、大学のミスコンにエントリーしたこともあって、その時は書類選考で落ちたんですけど(笑)、その悔しさと、現役局アナがミスコンに出るというどこの局もおそらくやったことがないであろう企画というおもしろさもあり、挑戦したい!って上司に相談したらまさかの「いいよ」って。

――茨城放送って、変わってますね(笑)。

菊地:結構、自由にやらせてくれる会社です。精神修行の一環として、バンジージャンプを決行して動画配信をしたりとか。それも日本一の高さを誇るバンジージャンプだったから、最初は怖くて跳べないと思ったけど、これも仕事だ!と思って割り切りました。

――跳んでみて、いかがでした?

菊地:跳んでから元いた場所に引き上げられるまで、ずっと怖いです。結構長い距離を落ちるので息もできなくて、声を出そうとしても全然出ません。跳ね返ってから、やっと声が出ました。上から引き上げてもらう時も、ブランコみたいにユラユラしてるし高い所が苦手な私には地獄ですよ。でも、ネットに上げた動画がきっかけでリスナーになった人もいるので、挑戦して損はなかったですね。

2017年には「第2回 水戸黄門漫遊マラソン」に出場して、初のフルマラソンを完走。「おきなわマラソン」にも参加して、スタートから15分後と2時間後に、走りながらマラソンの様子をレポートしました。

おきなわマラソンにて 完走後の菊地アナ

――走りながら喋るのは大変ですよね。

スマートフォンを片手に走りながら喋ってたんですけど、ほかの人からは「あの人、一体何をしてるんだろう。しかも、放送っぽい喋り方をしてる」という表情で見られてました(笑)。走り始めて15分後の時は大丈夫だったけど、2時間後の時はさすがに息が上がってましたね。

――マラソンとは関係ありませんが、イナゴを食べたこともありましたよね。

私、本当に虫が苦手で。番組開始当初のディレクターが鬼のような人だったんですけど(笑)、今になって考えると、そういうのがあったから面白い方向に転がっていったのかもしれません。一人で企画を考えてたら、ブレーキをかけてしまうし、ディレクターにも“振り切れ”って言われていたので。

――現在、『こんなんで、いいのかYO!?』はミキサーさんと二人だけの制作なんですね。放送当日はどんな流れで準備をしていますか?

放送当日は2時に出社してキューシートを作り始めて、メールの選定をします。今夜のテーマをツイートして、放送の30分前に「かわいい単語」の収録部分を先に録音します。『HAPPYパンチ』や『4Me』はディレクターがいますが、この番組は基本的に一人で準備をしなければいけないので、その点では一番力が入ってます。子どもの頃から、人に喜んでもらいたいっていう思いがあるから、自分でできることは全部やりたいと思ってます。

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――人に楽しんでもらうために、心がけていることはありますか?

ちょっと真面目な話になってしまって恐縮ですが、私の父は、私が大学生の時に病気で倒れて、今も自宅で介護生活をしています。父のことはもちろん、母のほかに姉と弟のことも心配なので、私は埼玉の実家から通える放送局に就職したかったけど、それがなかなか叶わなくて、一度、アナウンサーになるのを諦めようと思ったんです。それでも、家族みんなが応援してくれて、茨城放送に就職が決まった時、茨城は母の実家があるという縁もあって「こっちのことは心配してないで、ちゃんと夢をつかむんだよ」と言ってくれたので、送り出してくれた家族にradikoのエリアフリーで聞いてもらって、元気になってもらいたいんです。「この子は、この仕事に就くために生まれてきたんだ」と思わせないといけないと思っていて、できる事があったら全部やりたいと思っています。もちろん、リスナーの皆さんも楽しませたいです!

茨城と茨城放送

――菊地さんからみて、茨城放送はどんなラジオ局ですか?

菊地:働き甲斐があって、やりたいことは何でもやらせてくれるんです。他のラジオ局だったら絶対にやらせてもらえないようなことでも、わりとやらせてもらえるので、いろいろな企画をしたくなります。中でも、今やってみたいのは他のラジオ番組とのコラボ企画。ラジオが好きな人がradikoのエリアフリーを使って、お互いの番組を聴いてくれたら楽しみが増えると思います。

――『こんなんで、いいのかYO!?』のファンの皆さんは、菊地さんの他の番組だけでなく、茨城放送のファンが多い気がします。

菊地:本当に温かい方ばかりで、例えば私が少しでも鼻声だったりすると、すぐに「風邪ですか?」って気付いて、なかには栄養がつくものを送ってくださる方もいらっしゃいます。ほとんど親のような感じですね(笑)。放送で何気なく「誕生日には甘いものじゃなくてビーフジャーキーが欲しいかもしれない」って言ったところ、実際に誕生日にビーフジャーキーをプレゼントしてくれた方が何人もいたり、洋服を作ってくれた方もいました。あと、一番驚いたのは失恋をした時に「声のトーンがいつもと違う」と気付いたリスナーがいたことでした(笑)。

ファンが作ってくれたという服

――いろいろな番組で茨城の人と接してきて、茨城の人はどんな人が多いと思いますか?

菊地:世話好きな方が多いです。お会いした方が、ひとりでは食べ切れないほどの農産物をくださったりとか。茨城は東京に近いけど、海も山もあるし、なんでも茨城で完結できちゃうところがあるから、遠くまで行かなくてもいいかなっていう気持ちになります。

――いいですね! では、茨城の方言はいかがですか?

菊地:今はかなり分かるようになりましたけど、最初は全然分からなかったですね(笑)。ただ、私も茨城のイントネーションっぽくなってきたみたいで、埼玉に帰ると友達に「訛ってる」って言われます。茨城弁は知っておきたいので『MUSIC STATE』(月曜〜水曜 13時〜15時55分、木曜・金曜 13時〜14時55分)の水曜日にある、マシコタツロウさんが茨城弁でおたよりを紹介する「マシコの青なじみ」のコーナーを聞いて勉強します(笑)。

レコードの種類が豊富な茨城放送。スタジオの中にもレコードが並んでいます。
茨城放送 本社1階では毎週土曜 13時〜15時に「レコードカフェ」を開いています。500円でコーヒーと名曲が楽しめます。

――そもそも、菊地さんは、昔からアナウンサーを目指していたんですか?

菊地:小学校5年生の頃から、ずっと志望していました。その頃は声が小さくて、できればあまり目立ちたくなかったんですけど。放送委員会に入って、お昼の校内放送で話したら「真衣ちゃんの声って意外と綺麗だね」って言われてすごく嬉しくて。それがきっかけで目指し始めました。卒業文集にも「将来はアナウンサーになりたい」って書いたほどです。

――早い段階で決めていたんですね。人からは「どんな性格」って言われますか?

菊地:「喋らなかったらお嬢様っぽい」って言われます(笑)。『こんなんでいいのかYO!』を聞いて私のことを知った人が、ホームページで私の顔を見ると「え? この人なの?」って、一瞬、戸惑うみたいです。

――入社してみていかがでしたか?

菊地:最初は「アシスタントだから、あまり前に出すぎないように」って言われていたこともあって、“自分”を出すのを抑えていました。結果、相槌ばかりになってしまって、ラジコのエリアフリーで聞いていた母に「真衣ちゃんは相槌ばかりしていて、いたのか、いないのか分わからなかった」って言われたほどです(笑)。その後、入社2年目の春に『こんなんで、いいのかYO!』が始まった時は、当時のディレクターに「この番組は振り切らないと、やってる意味がないから、恥ずかしいとか言わずに思いっきりやって!」と言われたから、こっちも本気でこたえようとしました。番組開始当初は「妄想結婚式」というコーナーもあって(笑)。結婚に興味津々な私が、リスナーからもらった実際のエピソードをもとに妄想し、ドラマ仕立てで理想の結婚式を再現するコーナーです。このコーナーがきっかけで、実際に式場でドレスを着てファッションショーに出演したこともありました。

――リスナーのエピソードをもとに“結婚式”の脚本を書いて、ひとりで演じるのは相当な労力ですよね。

菊地:そうなんです。さすがに途中で疲れてしまって、月2回にしてました(笑)。芝居っぽくする週もあれば、ウェディングプランナーにインタビューした音源を流して、負担を軽減させながらやってました。

学生時代からのラジオっ子

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――菊地さんが、学生時代にハマったラジオ番組はありますか?

菊地:宮川賢さんのことがすごく好きで、小さな頃から『宮川賢のパカパカ90分』(TBSラジオ)を聴いて、高校生の時は投稿したり、電話もかけてました。電話口のオペレーターさんと話したんですけど、こっちは面白おかしく喋ってるつもりなのに採用してもらえなくて(笑)。

――高校生の頃から『パカパカ』にハマってたんですか⁉

菊地:父がラジオが大好きで、土曜日にピアノレッスンに連れて行ってもらってた時に、いつも聞いてました。『パカパカ』が終了する時メッセージを送りましたし、今も『宮川賢のデートの時間でそ!』(TBSラジオ)を聞いてます。宮川さんの番組みたいに弾けた番組をやりたいという思いが根本にあります。

――そのほか、学生の頃から影響を受けたパーソナリティはいますか?

菊地:TBSの安住伸一郎さんです。毒のある事を言っても、聞いている人が不快にならないように、いろいろな選択肢を考えながらもズバッと言うところも尊敬しています。いつかは“女性版の安住紳一郎さん”のようになれたらと思ってるんです。ただ、『こんなんでいいのかYO!?』でちょっと毒を入れながら話したことがあって、聞いている方から「悲しいです」とか「ショックでした」って言われちゃって。だから、私が毒を吐くというイメージがあまりないんだと思います。

――毒を吐くというよりは、“明るく楽しく”っていうほうを求められているのかもしれないですね。

毒も吐きたいけど、失敗が多いから結果的に自虐ネタが多くなってます。あと、現在気になるパーソナリティでは、FM BIRD所属の高木マーガレットさん。

――高木さんとは、私も時々、仕事でお会いするんですけど、ナヨナヨしているかと思えばきちんとしていて、変わってますよね。

菊地:学生時代に通っていたアナウンススクールが一緒でした。可愛い上にテキサス育ちで英語もできて、頭もいいのにちょっと変わってるっていう。なんでもできる感じがして、私はすごくうらやましいです。どんな生活すれば、高木さんみたいなれるのか、知りたいです(笑)。

――では、今後の展望を教えてください。

菊地:誰でもなく『菊地真衣にしかできない』という番組作りをしていきたい。そのためだったらどんな挑戦もしたいんです。全国からラジコプレミアムに登録してでも聴きたい、茨城放送じゃないとこの空気感は味わえない!と思ってもらえる話題の番組をこれからも目指します。全国のラジオファンは絶対知ってる!というパーソナリティになりたいです!まだ聴いたことがない方も、『こんなんでいいのかYO!』と思いながら番組を楽しんでいただけたら嬉しいです(笑)。

番組概要

菊地真衣のこんなんで、いいのかYO!?

放送局:IBS茨城放送

放送日時:毎週火曜 20時00分~21時00分

出演者:菊地真衣

※放送情報は変更となる場合があります。

この記事を書いた人

やきそばかおる

小学5年生以来のラジオっ子。ライター・構成作家・コラムニスト。

「BRUTUS」「ケトル」などのラジオ特集の構成・インタビュー・執筆を担当するほか、radiko.jp、シナプス「I LOVE RADIO」(ビデオリサーチ社)/ J-WAVEコラム「やきそばかおるのEar!Ear!Ear!」/otoCoto「ラジオのかくし味」/水道橋博士のメルマ旬報など連載や、番組出演を通じて、ラジオ番組の楽しさを発信。

ラジコプレミアムを駆使しながら、全国のユニークな番組を紹介するツイキャス番組「ラジオ情報センター」(水曜21時〜22時)も放送。全てを合わせると、年間でのべ800本のラジオ番組を紹介している。

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