日産に350万円命令 死亡男性未払い残業代 地裁判決

日産自動車

◆「管理監督者該当せず」

 2016年に病死した男性=当時(42)=が日産自動車(横浜市西区)に課長職として在籍中、「管理監督者」とみなされて残業代が支払われなかったのは不当として、男性の妻が同社に未払い残業代約520万円の支払いを求めた訴訟の判決で、横浜地裁(新谷晋司裁判長)は26日、同社に約350万円の支払いを命じた。

 訴訟では、労働基準法で残業代の支払い対象外となる管理監督者に男性が該当するのかが争われた。遺族側は、課長職とはいえ、経営意思の決定に関わる権限はなかったと主張した。

 新谷裁判長は判決理由で、男性の役職について「経営者と一体的な立場にあると言えるだけの重要な職責と権限を付与されていたとは言えない」と指摘。管理監督者にふさわしい手当と待遇があった点を踏まえても、「総合考慮すると管理監督者には該当しない」と判断した。

 遺族側代理人の飯田学史弁護士は「『経営者と一体的な立場』と評価できない限り管理監督者にならないと裁判所が示したことは価値がある」と評価した。同社広報部は「判決文を精査した上で、今後の対応を検討する」とした。

 判決によると、男性は13年4月から新興国向けブランドのダットサン事業本部などに在籍。課長職に当たる役職に就き、マーケティング戦略の企画立案などを担っていた。16年3月に勤務中に倒れ、脳幹出血で死亡した。

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