なぜ投票に行かないの? 「誰が議員になっても同じ」 居眠りに失望、無関心も

 統一地方選の第1ラウンドとなる県議選の告示が29日に迫った。私たちの暮らしにとって、身近な政策を決める議員らを選ぶ選挙だが、近年の県議選を見ると、投票率は過去最低を更新し続け、2015年の前回は50.89%にまで落ち込んだ。有権者の2人に1人が棄権した格好だ。なぜ、1票を投じないのだろう-。今回の県議選に投票に行く予定がない有権者、投票するか迷っている有権者らに理由を尋ねてみた。どうしてですか?
 「前回も行ってないし、今回も行かない」。島原市の飲食店従業員の男性(28)がこう話す背景には、政治への失望感がある。国会や地方議会で議論している最中に居眠りしている議員の姿をテレビで目にし、「本当に国や県を変えてくれるのか」と疑問ばかり募る。
 人口減や少子化など、地域が抱える課題の解決に向けて独自の視点で政策を訴える地方議員も少なくないが、議員の日ごろの活動が有権者には見えにくく、誰が議員になっても同じだとの声も聞かれる。佐世保市折橋町の無職男性(76)は「議員が似たり寄ったりだ」。長崎市千歳町の男性会社員(27)は「投票する人を選ぶ判断基準が分からない」と困惑げだ。2人とも投票に行くか迷っている。
 選挙そのものに関心がないとの声も。今春、大学を卒業した長崎市文教町の女性(22)は「国政を含め、今まで選挙に行ったことがない。(今回も)選挙があることを知らなかった」。同市鳴見台1丁目の女子大学生(21)は「今の生活に満足しているし、特に何か変えてほしいと思うことがない」と話す。
 県議選の投票率はピークの1951年には85.61%に上った。だが、その後、政治に対する失望感、議員を身近に感じないといった声、無関心などを背景に投票率は続落傾向。63年に70%台、95年には60%台に落ちた。2003年以降は毎回、過去最低を更新し11年に57.85%、15年の前回は50.89%。終戦から間もない約70年前は約5人に1人だった棄権者は、今や半数を数える。
 一方で、「必ず投票に行く」という有権者もいる。大学卒業後も長崎で生活するつもりだという長崎市今博多町の大学生、住田泉さん(20)は「若い声を政策に反映してほしい。親と話すなどして候補者について調べて投票したい」。クロマグロのひき網漁をなりわいとする対馬市美津島町の漁業、築城春樹さん(51)は「漁民の気持ちを考えてくれる候補に票を入れたい」。国際ルールで漁獲量が規制され、生活は苦しくなるばかり。前回、県議選対馬市区は無投票。4人が立候補を予定している今回は古里の未来を託せる候補者に1票を投じるつもりだ。

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