解体完了に「寂しい」 津久井やまゆり園、県が公開

居住棟の跡地を見つめる尾野さんや報道陣。奥は残された管理棟や体育館=相模原市緑区

 入所者19人が殺害された県立障害者施設「津久井やまゆり園」(相模原市緑区)の建て替えに向けた解体工事が完了し、県が26日、報道陣に公開した。この日は月命日に当たり、献花に訪れた家族会前会長の尾野剛志さん=座間市=らは建物が取り払われた跡地を前に「本当に寂しい」と漏らした。

 県によると、取り壊されたのは東西の居住棟と作業棟の計3棟。「大規模施設から地域へ」を理念とする再生基本構想を踏まえ、小規模施設に生まれ変わる。体育館や管理棟、厨房(ちゅうぼう)棟は改修して再利用する。

 主要な建物がなくなった更地を前に、尾野さんは「建物が残っているのは記憶の中だけで、本当に寂しい。グラウンドで盆踊りをした様子などが走馬灯のように思い出される。新しいやまゆり園となり、入所を希望する利用者が穏やかに暮らせることを願っている」と話した。

 県は2019年度中に新築工事を始め、21年度中の利用開始を目指す。事件のモニュメントを設けることも基本構想に盛り込んでいる。

© 株式会社神奈川新聞社